【高齢の親はひとり暮らし】様々な生活の必要に対応するために!ヘルパーさんの事業所を選ぶポイントとは?

高齢者の生活関連
専門的な掃除

介護保険を利用してヘルパーさんに来てもらっているとします。

では、たまには、ちょっと時間をかけてお風呂や台所など大掛かりな掃除をお願いしたい場合、ヘルパーさんに頼むことはできるでしょうか?

また、いつも過ごしている居間の電球が切れてしまったので、交換をヘルパーさんにお願いすることはできるでしょうか?

できません。

ごく普通の掃除機掛けや拭き掃除などを行うことはできますが、それ以上の大掃除的なことや専門的な掃除、電球の交換などもヘルパーさんが行うことはできません

その他にも、ペットのおしっこシートの交換やエサやり、お客様へのお茶出しもヘルパーさんは対応できません。

介護保険を使ってヘルパーさんを頼む方は多くいらっしゃいますが、ヘルパーさんにお願いできない内容も多いです。

今後の在宅介護を考える上で、今の介護保険制度ではカバーできないことがたくさんあります

そこで、ひとりで暮らされる高齢の親御様の生活を支えるために、どのような訪問介護事業所(訪問ヘルパー)を選ぶとよいかについてご紹介したいと思います。

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ちなみに、介護保険を利用するためには『認定調査』を受けなければなりません。
その手順についてご紹介している記事はこちらです
介護保険活用までの10の道のり。認定前でも使える裏ワザあります

訪問介護事業所を選ぶ際に是非抑えておいていただきたいポイントがあります。

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ヘルパーさんの事業所を選ぶポイントは『介護保険外サービス』を提供しているところ

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ポイントは『介護保険サービス』を提供している事業所を選ぶことです。

高齢者のひとり暮らしの必要を考える時、『介護保険外サービス』を提供している訪問介護事業所を選んでいただきたいと思います。

その理由を挙げてみます。

1独居生活を送られる高齢者が多くなっている
2介護保険ではカバーできないサービスの需要が大きくなっている

順番に解説します。

1 介護保険外サービスが必要な理由。独居生活を送られる方が多くなっている

ヘルパーとしてご利用者宅をお伺いしていると、独居生活を送っておられる方が本当に多くなっています。

そして多くの方が「自宅で暮らしていきたい」とおっしゃいます。

おひとりで生活しておられる高齢者は、何か生活面で難しいことがあっても、我慢したりそのままになっていたりしています。

近くにご家族やご親戚でもおられれば、いろいろ頼めるかもしれませんが、そうでない方も多いです。

内心は「どうしよう?」「これはどうしたらいいだろう?」と困っておられるのですが、「自分でなんとかしたい」というお気持ちの方も多いです。

結果として、困った状態がそのままになっているケースが本当に多いです。

例えば、室内の照明器具の電球が切れてしまっても、ご自分で同じ物を買いに行って、ご自分で交換するのはかなり困難です。

かといって、気安く頼める方もいないので、電球はいつまでもチカチカしています。

ご家族や親戚がわりと近くにおられることもあります。

ですが、迷惑をかけてしまうことを心配したり、これまでの様々なご事情によって心情的に頼めないという方もいらっしゃいます。

ご家族の側も、遠慮があったり、一切関わりたくないと思っておられる方もいらっしゃいます。

ご家族の側の独特の難しさもあります。

特に、ご兄弟が複数おられると、親御様のサポートを分担できる反面、関りの『温度差』や連携の行き違いなどによって、ご兄弟同士の間に感情的な亀裂が起こってしまうことがあります。

親御様はその間に挟まれて困ってしまっているケースもあります。

ご家族にはご自分のご家庭もお仕事もあり、忙しい毎日を送っておられると思います。

その限られた時間の中で親御様のお世話や、急な出来事の対応をしなければならないこともあると思います。

ちなみに我が家にも同じような経験があり、正直に言って身体的にも精神的にも大きな負担となっていました。

そこで、お役に立つのが『介護保険外サービス』です。

『介護保険外サービス』を提供している訪問介護事業所を選ぶと、どんなメリットがあるのでしょうか?

メリット1 困ったことがあってもすぐに、気軽に頼める

親御様にとっては、すぐに、そして気軽にいろいろなことを頼むことができます。

小さな困りごとであれば、短い時間で済ませることができ、費用もそれほどかからず、素早く問題を解決することができます。

メリット2 とりあえず相談できる

『介護保険外サービス』といっても、あらゆることを行ってもらえるわけではありませんが、少なくとも困りごとを『相談』することができます。

この『相談』できる先があるのは大事です。

独居生活の中で、何か突発的なことが起きてお気持ちが乱れることがあり、ヘルパーの事務所に電話がかかってくることがあります。

勢いのいいお話しをお聞きしているうちに、ご利用者はご自分で状況を把握され、落ち着かれることもあります。

この、とりあえず相談できる先があるのは、独居生活を送っておられる高齢者にとっては安心ですし、心強いことと思います。

 
介護保険外サービス活用の例
ある独居生活を送っておられる女性のご利用者さんには愛犬がいます。
自分はご飯を食べなくても、ペットには食べさせてあげています。
ある日、デイサービスから帰って来ると、ペットのエサがないことに気付きました。
ご本人は疲れており、足も悪く、ご自分で買いに行くことができず、半ばパニックのようになっていました。
困ったご利用者は、いつも派遣してもらっている訪問介護事業所に電話し、事情をお話しされました。
お話ししているうちに、家の中にいつものエサに代わるものがあることに気付かれました。
その時には、たまたま手の空いている常勤のヘルパーがいたため、『介護保険外サービス』にて訪問し、ペットのエサを『買い物代行』によって買ってきてもらうことができました。

『介護保険外サービス』は費用の全額を負担しなければならないので、少し費用はかかってしまいますが、それでも安心していただくことができる便利なサービスです。

このように、困っていることを『相談』したり実際に便利に利用していただくことができます。

いつも訪問しているなじみのヘルパーさんがきてくれる場合もあり、心強いとおっしゃっていただいています。

メリット3 すでに付き合いがあるので安心

ご家族にとっては、急な出来事を含めて、ご自分に代わっていろいろな願い事の対応をお願いできます。(内容や予定の日などをサービス提供責任者と相談していただきます)

ヘルパーを派遣してくれている付き合いのある事業所です。信頼し安心して親御様のご依頼を頼むことができます。

特に、遠方から通ってこられているご家族にとっては時間や労力を大いに削減できるので、助かります。

2 介護保険外サービスが必要な理由。介護保険ではカバーできないサービスの需要が大きくなっている

例えば、以下のような依頼の例がありました。

いずれも、サービス提供責任者との相談となるので、100%お願いできるとは限りませんが、僕の所属する事業所では以下のようなサービスをお受けしたことがあります。

介護保険外サービスでの対応その①受診の同行

ご家族がおられれば対応してくださるかもしれませんが、親御様の受診のためにわざわざ遠方から通って来ている方もいらっしゃいます。

お仕事をされているなら、休暇を取って受診に付き添わなければなりません。

しかも、受診は時間がかかります。

僕の事業所ではこのような対応をしたこともありました。
すでにヘルパーをご利用いただいている方に対しては、事前に診察券をお預かりしておき、朝一番でヘルパーが券を出しに行き(順番取り)その後ふさわしい時間に、ご利用者と一緒にタクシーで受診する、ということもありました。

お忙しいご家族の代わりにヘルパーが付き添いできるので大変便利です!

多くの場合、受診は1ヶ月に1度あります。

毎月お休みを取って付き添うのは困難な場合が多いと思います。

加えて、薬の受け取りもあります。

薬の在庫が薬局になく、後日取りに行かなければならないこともあり、負担が大きいです。

(ちなみに、薬の受け取りは通常の『介護保険サービス』でヘルパーさんに対応してもらうことができます)

介護保険外サービスでの対応その②年末の大掃除

この依頼も多いです。

介護保険での掃除では対応できないことが多々あります。

例えば、『ガラス』『玄関土間』『照明器具』『換気扇』などは『介護保険』を使ってヘルパーさんに掃除してもらうことができません。

かといって掃除専門の業者さんに頼むのも大変です。

「プロのレベルでなくてもいいです」ということで、大掃除を行ったことがありました。

介護保険外サービスでの対応その③草取り・草刈り・庭木の剪定

この依頼も多いです。

介護保険では対応できません。

シルバー人材センターに頼む方もいらっしゃいますが、人気があるため何か月も待たなければならないこともあります。

プロの植木屋さんのレベルでなくてよいということで、『介護保険サービス』で行わせていただいたことがあります。

プロではないので、道具などはご利用者宅にあるものをお借りしていました。

介護保険外サービスでの対応その④買い物の同行

毎週の決まった曜日に、ヘルパーさんと一緒にショッピングモールへ買い物に出かけている方もいらっしゃいます。

ヘルパーさんに買い物代行を頼むことは『介護保険』を活用してヘルパーさんに頼むことができます。

しかし、介護保険では、生活必需品の買い物同行はできるものの、それ以外の買い物をヘルパーさんに頼むことはできません。

でも、特に主婦の方は自分で品物を選びたいのではないでしょうか。そして、ショッピングを楽しみたいのではないでしょうか?

『介護保険外サービス』を活用していただくことによって、ヘルパーと一緒にお店に行き、安全にショッピングを楽しんでおられる方もいらっしゃいます。

その分、ご家族の負担も減らせると思います。

介護保険外サービスの費用

介護保険外サービスを提供している事業所によって費用は異なります。

だいたい1時間3000円前後で行っているところが多いようです。4000円というところもあるようです。

確かに高額になってしまいます。

しかし、ご家族が時間や労力や経費をかけて対応することを考えるなら、ヘルパーさんに依頼した方が得策な場合もあると思います。

参考までに、介護認定を受けられ、『要介護』認定と『要支援』認定を受けられた方のヘルパー利用料金についてご紹介している記事はこちらです。
【要介護】認定を受けました。ヘルパーさんを利用するといくらかかりますか?
親御さんの認定が『要支援』の方向け。訪問ヘルパー利用料金の目安

介護保険外サービスの依頼内容。ご参考までに

ちなみに、僕がこれまで『介護保険外サービス』で行った作業には以下のものがありました。

・家財道具一式処分(2階建て住宅)約1ヶ月かかった

・草取り、庭木剪定

・大型ブラウン管テレビ3階から階段で搬出

・受診付き添い

・年末の買い出し付き添い

・大掃除

・網戸の張替え

・毎週の定期的な室内清掃

・大量の軟便失禁対応

・お酒の購入付き添い

・粗大ゴミ処分

・冷蔵庫のリサイクル処分

・ペットの世話

・介護保険では買えない物の買い物代行

どの訪問介護事業所でも対応しているわけではありません。要相談です

介護保険外サービスを提供している訪問介護事業所の探し方

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ケアマネージャーさんに探していただきます。

ご自分でも、インターネットなどで探すことができます。

ケアマネージャーさんは親御様やご家族からニーズをくみ取り、ケアプランを立ててくださいます。

身体介護や生活援助のために、訪問ヘルパーのサポートが組み込まれるかもしれません。

そのニーズの中には、通常の介護保険サービスでは対応できないところがあるかもしれません。

是非、ケアマネージャーさんにお願いして、『介護保険外サービス』を提供している事業所を紹介していただきたいと思います。

介護保険サービスと介護保険外サービスの組み合わせ

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最近では、通常のヘルパーの訪問の前後に介護保険外サービスを加えて、一体的にサービスを提供するケースも増えてきています。

例えば、身体介護のためにヘルパーさんに来てもらっています。でも、生活援助のために掃除もお願いしたいです。
訪問介護の決まりでは、1回の訪問の後、2時間あいだを空けないとヘルパーさんに来てもらうことができません。
そこで、介護保険外サービスを利用して、身体介護の後そのまま掃除のサービスを利用されている方もいらっしゃいます。
そうすれば、連続してヘルパーに訪問してもらうことができます。
認知症の見守りを兼ねて連続6時間ヘルパーが訪問しているケースもあります。
こんなふうに、ご利用者さんの状況に合わせて、『介護保険サービス』と『介護保険外サービス』をうまく組み合わせて効率よくサービスを受ける方法もあります。

こうしたニーズは、『介護保険外サービス』を実施している訪問介護事業所でなければ対応できません。

ケアマネージャーさんには、是非、『介護保険外サービス』を実施している訪問介護事業所を紹介していただくようお願いしていただきたいと思います。

注意点

unrecognizable trendy man walking on fallen tree trunks in forest
Photo by Monika Balciuniene on Pexels.com

介護保険サービス』の契約と『介護保険外サービス』の契約は別になります。

費用のこと、キャンセルのこと、何か壊してしまった(ヘルパーが)時の対応のことなどをよく確認しておいていただければと思います。

特に、費用は通常のヘルパー利用の料金より高くなります。

親御様には『介護保険サービス』と『介護保険外サービス』の負担額の違いをよくご理解いただきたいと思います。

まとめ

ご利用者のところを訪問していると、小さな困りごとがいろいろとあります。

「電球が切れてしまったので交換して」「ペットのフンを片付けてくれ」「庭に除草剤を撒いてくれ」

など、その内容は多岐にわたります。

ご利用者から「今日はいつものサービスはいいから、それだけやってくれればいいから」などと言われてしまうこともあります。

その都度、「それは、僕たちヘルパーにはできないんですよ」「介護保険ではできないことになっているんです」とお伝えします。

そうするとご利用者は悲しそうなお顔をされることがあったり、口ではおっしゃらないものの「これくらいやってくれればいいじゃないか!」というまなざしで見られたりします。

大げさな言い方ですが、社会にもっと介護保険外サービスが浸透してほしいと思います。

生活の困りごとに対応してくれる便利な業者さんもたくさんありますが、ヘルパーさんは定期的に訪問してくれるので、圧倒的に安心感があると思います。

訪問介護事業所とのお付き合いがあるので、安心してお気軽に相談できると思います。

これからの在宅介護を考える時に、この安心感相談先があることは、社会の砦となるのではないかと思っています。(大げさでスミマセン。でも本心です)

最後までお読みくださりありがとうございました。

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