ご訪問頂きありがとうございます。
独居生活を送る高齢者は多いです。
ご家族も、実家に帰った時に、親御様の様子や家の中の状態に驚くケースも多いです。
「なんとかしたい」
と思われる場合、訪問ヘルパーを頼むことができれば、親御様の心身両面で必要なサポートを受けていただくことができます。
と同時に、ご家族の負担も軽くなります。
「とにかく何でもいいから親のところにヘルパーさんに入ってもらいたい」
と訴えてこられるご家族の方もいらっしゃいます。
しかし、残念ながら肝心の親御様はヘルパーの訪問にあまり乗り気ではない、又は、拒否する場合もあります。
(ちなみに、生前、僕の祖母は玄関先でヘルパーさんを何度も追い返してしまいました・・・)
今回の記事では、ヘルパーさんをお願いする場合、最初にどんなサービスからはじめてみると良いか?
という点について、ご参考になる点をご紹介したいと思います。
この記事は約3分で読むことができます。
ぜひご一読いただければ幸いです。
親御様への最初のサービス内容を何にしたらよいか?についてのご提案。
① ヘルパーご利用の手始めに、買い物代行(同行)サービスをおすすめする理由

理由1 ヘルパーと一緒に出かけ、顔なじみになり、慣れることができる。
(買い物同行パターン利用)
理由2 家の奥まで入り込まなくても、玄関先でやり取りを済ませることもできる。
(買い物代行パターン利用)
理由3 ヘルパーに接する機会を作ることができる。ヘルパーの様子を実際に見ていただける。
(買い物代行パターン利用)
この3つが『買い物代行・同行』をおすすめする理由です。
ご利用者が、だれかのサポートを望んでおられるなら、ヘルパーの利用をおすすめしても受け入れてくれやすいです。
しかし、積極的にサポートを望んでおられないなら、ヘルパーの利用をおすすめしても『ありがた迷惑』になってしまいます。
でも、親御様の状況や状態からして、「何とかしないと」とお考えでしたらそのきっかけの一つに『買い物代行・同行サービス』は良い手段となります。
生活していくためには、食料品や日用品が必要です。
高齢者の皆さんはどのように調達しておられるでしょうか?
①-1 高齢者の食料品などの調達方法の例

ご利用者はいろいろな方法で調達しておられます。
可能な方は、ご自分で歩いて買い物に行かれます。(すぐ近くにお店がある場合)
電動のセニアカー(シニアカー)を運転して行かれる方もいらっしゃいます。
地域柄もありますが、買った物を持ち帰る必要があるので、『タクシー』を利用される方もいらっしゃいます。(1ヶ月のタクシー代は馬鹿になりません)
『生協』を頼んでおられる方もいらっしゃいます。(注文方法が難しい)
近所の方が買い物に行く時に、ご利用者に声をかけてくださり、個人的に頼んでおられる方もいらっしゃいます。
また、ご家族が親御様のために食料品などを買ってこられるケースも多いです。
①-2 購入した後の問題
親御様の体調やご気分によって、お料理したりしなかったり、食べたり食べなかったりして、買った物が無駄になってしまうことも多いです。
どうしても『もったいない』と思ってしまい、処分せず、無理に食べている方もおられます。
認知症の方であれば、賞味期限などお構いなく食べてしまったり、腐っているものを食べてしまうこともあります。
①-3 ヘルパー利用の良い点
ご了解をいただければ、冷蔵庫の中をヘルパーが確認させていただいて、在庫を確認の上ご利用者と相談しながら買い物内容を決めることができます。
悪くなっている食材があれば、ご利用者に確認の上、処分させていただくこともあります。
ヘルパーを利用することによって、無駄を省き、危険を減らせます。
僕が訪問していたある認知症のご利用者は、生の豚肉をそのまま食べていました。
別の認知症の方は、飼っている犬のエサをポリポリ食べていました。
どちらの方も独居生活を送っておられました。
ご参考までの情報として・・・
お手洗いや衣服の汚れ具合から、お腹の調子をある程度推測することができます。
独居生活にはどうしても危険が伴います。
では次に、ヘルパーの訪問を拒否する理由とその対応策について考えてみましょう。
① 拒否の理由1 「自分のことは自分で出来る」とのプライドがある

対応策としてのご提案。
「これからはヘルパーを頼みましょう」
家族などからこう言われてしまうと、高齢者はどのように反応されるでしょうか?
その方のタイプによります。
ご自分の『老い』を意識され、何か支えが必要だと感じておられれば、スムーズにヘルパーの利用を受け入れてくださるかもしれませんが、そうでない方もいらっしゃいます。
「自分のことはまだまだできる、バカにするな」
「人の手を借りるほど老いぼれてはいない」
今までできていたことを、ほかの人から「これからはヘルパーに頼みましょう」と言われてしまうと、「もうできないでしょ」と言われているような気持ちになり、プライドは傷つき、負の感情が募り『拒否』につながる方もいらっしゃいます。
ですので、その逆、つまり『プライドを高める』ようにもっていくのが大事です。
どのようにでしょうか?
生活するためには買い物をしなければなりません。
お米や醤油、めんつゆ、料理酒、みりん、牛乳、豆乳など、重量のある物も必要ですし、トイレットペーパーなどのかさばる物も必要です。
そうした品物をヘルパーさんと一緒に買いに行き(買い物同行)、帰りはヘルパーさんに持ってもらうことができます。(買った物を入れるカートなどがあると助かります)
本当は、この『買い物同行』も立派な『身体介護』の一部なのですが、『お手伝いさん』的な感じで買い物に同行して行きます。
あらかじめケアマネージャーさんや、ヘルパーの担当責任者(サービス提供責任者)と相談しておき、ヘルパーさんには『お手伝いさん』のように振舞ってもらう(演技)のです。
そうすれば、親御様のプライドは傷付かず、『ヘルパーを使ってやっている』ような感覚になっていただけます。
買い物同行する間に、ヘルパーといろいろなお話しをしていきます。

そのうちにお互いになじんできます。
気心が知れ、打ち解けてきます。
不思議なもので、お互いに親しくなるにつれて、ヘルパー側のお願いも聞いていただきやすくなります。
そこを突破口として、さらに必要なサービス(例えば掃除や調理など)につなげていくことができる場合もあります。
僕はよくご利用者にこんなふうにお願いしていました。

○○さん、ちょっとだけお部屋さっぱりしましょうか?

そんなに汚れてないからいいよ

僕は掃除が好きなんですよ(これは本当です!)この、こたつの周りだけ僕のためにお仕事を与えてやってください。ごめんなさいね、イヤかもしれないんですけど、ちょっとだけ僕を使ってやってください。

そうか、悪いな、じゃちょっと頼むよ

じゃ、すいませんけどこたつの布団を上へ上げていただいていいですか?僕、掃除機取ってきますので。

はいよー
こんな感じで伝えると『ヘルパー君のためにしょうがないか』『まあ、使ってやるか』ぐらいの感じで許してくださいます。
買い物にくっつけて、こんな感じで掃除にも食い込んで行っていました。
買い物に行った後なので、そんなに時間はありません。
本当に、ちょっぴりの掃除ですが、それでもこちらのお願いを聞き入れてくださったことは大きな前進です。
お互いにいろいろな話をしているうちに、だんだん仲良くなっていきます。
打ち解けてくれば、その他のサービスにつないでいきやすくなります。
訪問するヘルパー達も、ご利用者の生活をより良いものとできるよう努力していきます。
② 拒否する理由2 「人を家の中に入れたくない」

対応策としてのご提案。
この拒否の理由のお気持ちも分かります。
その背後には、掃除がままならないので、家の中が大変なことになっており、そうした状況を「見られたくない」というお気持ちがあります。
ヘルパーの『買い物代行サービス』であれば、玄関先で済ませることができます。
買い物内容のメモとお金をお預かりすれば、ヘルパーは買い物行くことができます。


家の奥まで入らせていただかなくても大丈夫です。
毎週1回でも顔を合わせ、少しずつ会話を交わすことによって、だんだんなじんでくることが多いです。
ヘルパーには、家の中をじろじろ見ないように伝えておき、買い物代行と、コミュニケーションを取ることに注意を集中してもらいます。
そのうち、「いつも玄関先ばかりじゃ悪い」と思ってくださればしめたものです。
ご利用者は本当は、家の中を掃除したり、片付けたりしたいのですが、「どこから手を付けたら良いのか分からない」というパターンが多いです。
無理に掃除のために入り込んで行くことはできないので、お気持ちの溶けるのを待つしかないかもしれません。
それでも、定期的にヘルパーが訪問し、おなじみさんになっていけば、次へのステップにつながることもあります。
ご利用者は、買い物代行サービスだけを、1週間に2回利用されていました。
いつも、パン数種類と牛乳とコーヒー牛乳だけ買っていました。
「たまには掃除しましょうか?」と声かけしても、首を横に振るだけでした。
でも、お互いのいろいろな話をしていくうちに、だんだん仲良くなっていきました。
季節の変わり目のタイミングで「衣装替えのタイミングなので、ここらで一発掃除でもしてみましょうか?」と声かけすると、やっと「頼む」と言ってくださいました。
少し長い目で見て、お互いの関係ができてきたところで、次のサービスを加えていければいいのではないかと思います。
無理にやっても、ご利用者の気持ちや機嫌が悪くなってしまうと、本末転倒の場合もあります。
③ 拒否する理由3 ヘルパーについての良い話を聞かない

対策としてのご提案。
噂話はいろいろなところから入ってきます。
デイサービスに行っておられたり、お友達から聞いたヘルパーのいろいろな情報が親御様に入ってくることでしょう。
残念ながらその中には『ネガティブ』な情報も含まれています。
ヘルパーさんにも様々なタイプの方がいるのは事実です。
『どうなのかな~』と考えてしまう言動をされるヘルパーさんもいらっしゃいます。
しかし、ほとんどのヘルパーさんは、正直言って『人気のない』『3k』とも『4k』とも言われるこの仕事に何年も、中には何十年も携わっておられます。
ご利用者のことを考えてあげられる、自己犠牲的な方でないと、とても務まる仕事ではありません。
親御様は、未だにヘルパーさんとはどういう人なのか会ったことがないので、イメージだけで形作られている状態です。
なので、ご提案としては、最初のうちはご家族にヘルパーとの買い物代行のやり取りを見ていていただければと思います。
親御様にその場に同席(玄関先であれば玄関で)していただき、対応をご覧いただきたいと思います。
そうすれば、親御様が耳で聞いた話と、ご自分の目で見たこととを比較していただくことができます。
訪問するヘルパーも、最初は登録ヘルパー(パートで働いているヘルパーさん)まかせではなく、ご利用者がヘルパーの訪問に慣れるまで、経験豊富な責任者が対応してくれます。(もし常勤ヘルパーが在籍していれば、常勤対応もあり得ます)
接する時間は短いかもしれませんが、少しずつでも会話を交わしていくうちに、打ち解けてくるケースがほとんどです。
もちろん、どんな方でもうまくいく完璧な方法はありません。
可能性のある方法を探して、何とか前にすすんでいくよう努力するしかありません。
その一つの方法として、ヘルパーさんの様子を見ていただくのは可能性のある方法です。
④ まとめ
サポートの必要を認識されている方にとって、ヘルパーさんの訪問は大きな支えとなります。
しかし、そうは思っておられない方にとっては、あまり好ましいものとはなりません。
『よく知らない』『よくわからない』ことに対しては、どうしても不安が伴います。
親御様もきっと『ヘルパー』という言葉は耳にするかもしれませんが、どんな人で、どんなことをしてくれるのかはよくご存知ないでしょう。
でも、顔を合わせ、言葉を交わすうちに打ち解けてくる可能性があります。
買い物代行(同行)サービスは、その最初の機会を作り出すのに、良い方法です。
親御様にとって、より過ごしやすい生活環境を整えるために、訪問ヘルパーを活用していただきたいと思います。
・独居の親の買い物をヘルパーに頼む。4つのトラブルとその対処法
・独居高齢者のヘルパー活用実例紹介。要支援認定(買い物代行・掃除)
・『買い物難民』を防ぐ力強い味方『買い物代行』サービスの活用法
最後までお読みくださりありがとうございました。
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