ご訪問くださり誠にありがとうございます。
買い物が困難な高齢の親御様のために、ご家族がサポートしておられるケースは多いです。
しかし、相当な時間と労力がかかります。
電話で必要な品物を親御様に確認したり、訪問して在庫を確認することが必要になってきます。
栄養のバランスを考えたり、無駄にならないように気を配っておられることと思います。
ご家族の負担を減らすために介護保険を活用し、訪問介護サービスの一つである『買い物代行』を利用される方もいらっしゃいます。
生活に必要な物をヘルパーさんに買ってきてもらえるので、とても便利です。
しかし、トラブルになることもあります。
今回の記事ではトラブルの原因となる4つの点を取り上げ、対策と合わせてご紹介したいと思います。
男のヘルパーとして『買い物代行』サービスを1000回以上行ってきました。
その経験を通して、トラブルを避けるのに役立つ点をご紹介させていただきたいと思います。
この記事は約5分で読み終えることができます。
最後までぜひご一読いただき、ご参考にしていただければ幸いです。
・ヘルパーに買い物代行をお願いする際、トラブルの原因になること
1 頼んだ物と違うものを買ってきた
2 頼んだ物がないと言われた
3 頼んだ物を買えないと言われた
4 お釣りが合わない
・その対処法
1 頼んだ物と違う物を買ってきた ➡ ほしい商品のパッケージを保管しておく
2 頼んだ物がないと言われた ➡ 代わりになる品物を頼んでおく
3 頼んだ物を買えないと言われた ➡ 介護保険では買えない物がある
4 お釣りが合わない ➡ スマホで写真を撮る(撮ってもらう)
・買い物代行の難しい品物
・まとめ
買い物代行でのトラブルを避けるために、まずは『メモ』を活用
あるベテランヘルパーさんがこのようにおっしゃっていました。
「ヘルパーの仕事の中で、『買い物代行』が一番難しい」
ヘルパーさんのお仕事の中には、例えば、ベッド上でのオムツ交換や更衣、入浴介助などの身体介護もあれば、生活の様々な面をサポートする『生活支援』があります。
その中で、『買い物代行』は難しい仕事ランキングの上位に位置するサービスなのです。
「えっ、頼まれたものをただ買ってくればいいだけじゃないの?」
と思われるかもしれません。
その通りです。
その通りなのですが、ご利用者のご希望通りに買ってくるのは意外と難しいです。
『買い物代行』サービスは、お金が関係するので、ヘルパーさんの側も気を遣います。
お互いに間違いがないように注意しています。
間違いを避けるために、ご利用者の中には事前に下の写真のような買い物の内容をメモしておいてくださる方もいらっしゃいます。
または、ヘルパーさんが買い物内容をお聞きして、その場でメモすることもあります。
そのメモを見ながら、商品について確認していきます。
例えば・・・
「パンは何枚切りですか?」
「バナナは何本ぐらいですか?」
「豚肉はこま切れですか、ロースですか?」
などです。
ヘルパーさんはスーパーなどで、そのメモを見て買い物を行います。
お店にはたくさんの商品があります。
例えば、お豆腐ひとつとってみても、お店には何種類もの商品があります。
受け取ったメモにはあらゆる情報が書かれているわけではありません。
なので、どんな商品なのかメモに詳しく書かれていなければ、あとはヘルパーさんの判断で買ってくることになります。
ご利用者のご性格や好みを考え、目となり鼻となって商品を選びます。
訪問できる時間は、買い物代行だけであれば1時間です。
訪問時の体調確認、お店までの往復の時間、戻ってからの品物やお釣りの確認、訪問の記録を書く時間などを考えると、余裕はありません。(多くの場合、ヘルパーさんは続けて次の訪問先に行くので、時間オーバーは困難)
品数が多くなると、いろいろ考えながら選ぶゆとりはありません。
時々、買ってきてから「それじゃないのよね~」「○○を買ってきてほしかったのに」ということがよくあります。
以下に取り上げる4つの点に注意を払っていただけるなら、そうしたトラブルを避けることができます。
わずかな手間なので、ご協力いただけるなら大変助かります。
1 頼んだ物と違う物を買ってきた
これは一番多いトラブルです。
どうすれば避けられるでしょうか?
・気に入った商品のパッケージをとっておく(パッケージ作戦)
下の写真のような感じで、お気に入りの商品のパッケージやフィルムなどを保管しておいていただくと助かりますし間違いを避けられます。
「第1希望はこの商品、もしなければこっちの商品」
といった具合にしておけば問題なく買い物代行できます!
僕がお伺いしていたある女性のご利用者は、買ってきてほしい物のすべてのパッケージを保管しておられ、「今日はこれとこれとこれね」といった具合に手渡してくださいました。
ヘルパーとしても、スーパーで同じものを探せばいいだけです。
どの商品にするか迷わずに済み、時間短縮にもなり本当に助かりました。
例えば、写真にある納豆一つとってみても、種類が豊富ですし、ご利用者がどの商品をイメージされているのか分かりません。
かといって、商品名や粒の大きさ、丸大豆なのかひきわりなのかなど、すべての品物についてあらゆることを細かく聞き取る時間もありません。
この『パッケージ作戦』はきっとご利用者やヘルパーさんの両方に役立つ方法だと思います。
・気に入っている商品をヘルパーさんに見ておいてもらう
申し訳ないのですが、冷蔵庫の中などをちょっとだけ見せていただき、買ってきてほしい商品をヘルパーさんに見せていただければ助かります。
食料品だけでなく、その他の生活用品もヘルパーさんに見てもらうならトラブルを避けることができます。
例えば、食器洗い用洗剤や洗濯洗剤、柔軟剤などは商品の種類や容量の大きさなどがたくさんあります。
どの商品を気に入って使っておられるのか見せていただけると助かります。
多くの場合、何らかの理由があってその商品を使っておられることと思います。
できるだけ、そのご希望に沿うようにしたいと思います。
そのためにも、詰め替え用の商品やボトルなど、目で確認させていただければ助かります。
ひとつ注意点があります。
商品によっては、すでに取り扱いが終了している物や、パッケージが新しいデザインに変わっていることがあります。
何年か前のパッケージの場合は、同じ物を買ってくることができないこともあり得ますので、その際はご了承いただければ幸いです。
2 頼んだ物がないと言われた
これもよくあります。
希望されている品物がお店にない場合があります。
例えば、お惣菜の『コロッケ』を頼まれても、品切れになっていることがあります。
その場合、代わりとして『クリームコロッケ』でもいいのでしょうか?冷凍食品の『コロッケ』を買ってきてほしいでしょうか?それとも買ってこなくていいのでしょうか?
そこをヘルパーさんまかせにしてしまうと、『買わない』という選択をするかもしれません。
「お総菜コーナーのコロッケがないなら、別の物を買ってくれればいいのに」と言われても、初めにその旨言っておいていただかないと、
『ない→買わない』
というふうになってしまいます。
買い物内容を確認する際に、代替品のご希望をヘルパーさんに伝えておいていただけるなら、トラブルにならずに済みます。
ヘルパーさんの方から確認してくれるかもしれませんが、伝えておいていただけると助かります。
3 頼んだ物を買えないと言われた
これもよくあります。
介護保険では『買えない』品物があるのです。
国の法律を持ち出して心苦しいのですが、こんなふうになっています。
2-6 買い物・薬の受け取り
老計第10号 訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について 厚生省老人保健福祉局 老人福祉計画課長
○日常品等の買い物(内容の確認、品物・釣り銭の確認を含む)
○薬の受け取り
『日常品等の買い物』となっているのです。
なので、例えば、親戚が来るのでお土産を買ってきてほしいとか、お酒類、タバコなどの嗜好品も買えないのです。
ご利用者が毎日の生活を送るのに必要不可欠な品物だけをヘルパーさんは買ってくることができるのです。
ヘルパーさん(訪問介護サービス)を頼む際には必ず、『訪問介護事業所のサービス提供責任者』がご本人の担当者(窓口)になってくれます。
その方に、最初にヘルパーさんが買える物と、買えない物を確認しておいていただきたいのです。
ここが曖昧になると、後でどうしてもトラブルになってしまいます。
是非、最初のご確認をお願いしたいと思います。
もしも、「どんな物でもとにかく買ってきてほしい」という方は、その方法についてご紹介している記事がありますので、ご参考になさってください。
4 お釣りが合わない
これも時々あります。
ヘルパーさんに預けたお札は1万円札だと思ったら、5千円札だった、などということがあります。
ヘルパーさんは、訪問後必ず『訪問の記録』を書き、ご利用者宅に残してきます。
その記録には、お預かりした金額を書く欄があります。
お店に出発する前に、預けた金額を書いてもらい、必ずご本人にも確認していただきたいと思います。
加えて、トラブルを防ぐために『預けたお金をスマホで写真に撮っておく』こともおすすめしたいと思います。
ご利用者がスマホをお持ちであれば、ご自分のスマホで、お持ちでなければヘルパーさんのスマホで撮っておいてほしいです。
先に挙げた、ヘルパーさんの窓口であるサービス提供責任者の方にお願いし、対応していただきましょう。
写真のような感じになります。
小銭も使ってほしければ、預けておくことができます。(あまりたくさんだとレジで時間がかかってしまうので、難しいです)
ヘルパーさんはお預かりしたお金を入れるお財布のような物を持参してきます。
トラブルを避けるためにも、預けたお金がいくらだったのか、記憶に頼らず、記録に頼りましょう。
訪問介護サービスはどうしてもご利用者とヘルパーと、一対一になってしまいます。
他に誰も証人になってくれる人はいません。
ヘルパーさんを疑うわけではありませんが、間違えがないようにするための有効な方法です。
ちなみに、お店から受け取るレシートもご利用者にお渡しすることになっています。
ヘルパーが書く『訪問の記録』に張り付ける場合もありますし、ご利用者に手渡しすることもあります。
5 買い物代行が難しい品物
・野菜や果物
様々な野菜や果物の買い物を依頼されることもあります。
特に、主婦生活が長い女性のご利用者は、野菜を選ぶのに『こだわり』があります。
それを一生懸命伝えてくださるのですが、だいたいその通りに買えません。
これまで、約1000回程買い物代行の訪問をさせていただきましたが、特に難しかった野菜果物ベストスリーは、1位セロリ 2位カボチャ 3位キウイ です。
硬さ具合、熟れ具合などご利用者ごとにお好みがあります。
それを教えてくださいますが、なかなかその通り選べません。
ご希望通りの物を選べたとしても、商品そのものに当たり外れがあったりします。
「あなたねえ、先週買ってきた○○マズかったわよ」などと言われ、お詫びすることが何度もありましたが、100%満足していただくことは難しいのが現実です。
ですので、誠に申し訳ないのですが、野菜や果物に関しては『お店にある物』でご勘弁いただきたいと思います。
6 まとめ
ご利用者にはそれぞれ好みがあります。
僕たちヘルパーさんも、なるべくご希望に沿いたいと思っています。
少しの手間をかけるだけで、お気に入りの商品を買ってきてもらうことができます。
4つのトラブルとその対処法
1 頼んだ物と違う物を買ってきた ➡ ほしい商品のパッケージを保管しておく
2 頼んだ物がないと言われた ➡ 代わりになる品物を頼んでおく
3 頼んだ物を買えないと言われた ➡ 介護保険では買えない物がある
4 お釣りが合わない ➡ スマホで写真を撮ってもらっておく
以上、ご参考にしていただければ幸いです。
最後までお読みくださりありがとうございました。
・自宅での入浴のためにヘルパーを活用する。同居家族がいる参考例紹介
・寝たきり【要全介助】独居生活のご利用者へ、ヘルパー訪問実例紹介
・独居高齢者のヘルパー活用実例紹介。要支援認定(買い物代行・掃除)
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