独居生活を送る親の生活を支える。介護サービス内容の『追加』可能です。ヘルパー訪問例ご紹介

person gather hand and foot in center 身体・生活組み合わせ例
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独居生活を送る高齢者は多くなっています。

生涯独身の方もおられれば、お子様たちや親族が遠くに住んでおられ、通いでのサポートは難しいケースもあります。

介護保険サービスの『訪問介護(訪問ヘルパー)』を利用することによって、独居生活を送る高齢の親御様に必要なサポートを受けていただくことができます。

この記事では、以下のようなケースをご紹介しています。

訪問ヘルパー訪問事例
当初、訪問ヘルパーに『身体介護』をお願いしていたのですが、その後、『生活援助』の必要も生じ、『調理』のサービスも追加して行うことになった訪問例

訪問ヘルパーに来てもらうまでに、どのような手順が必要なのかを解説した記事がありますので、もしよろしかったら、ご参考にしてください。

関連記事:介護保険を活用するまでの手順についての解説
介護保険活用までの10の道のり。認定前でも使える裏技あります
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独居高齢者に対し訪問ヘルパーが行う介護サービスには何があるのか?

訪問ヘルパーさんが行う『訪問介護サービス』には2つの種類があります。

身体介護生活援助の2つです。

身体介護の例
生活援助の例

身体介護はご利用者のお体に関係する介護サービスです。

生活援助は、ご利用者が生活していくのにご自分で行うのが難しいところをサポートするサービスです。

ケアマネージャーさんが作ったケアプランに基づいて、訪問ヘルパーさんは介護サービスを提供していきます。

訪問ヘルパーさんにお願いしている内容を変更したり、追加することは可能か?

可能です。

よくあります。

なぜなら、高齢のご利用者のお体の状態やご家族の状況は変化することがあるからです。

それに応じて、訪問ヘルパーさんのサービス内容を変更しなければ対応できないからです。

例えば、どのようなケースがあるでしょうか?

訪問例をご紹介したいと思います。

訪問ヘルパー訪問例:送り出し・お迎え(身体介護)

80代男性ご利用者М様(独居・要介護3)は週に3回人工透析に通っておられました。

朝、8:30頃、送迎車が来る前に訪問ヘルパーがお伺いし、М様が車に乗りこみ出発するまで見守る『送り出し』という身体介護サービスを行っていました。

そして、午後、帰ってこられる前にМ様宅を再び訪問し、『お迎え』をさせていただく身体介護サービスも行っていました。

これは、クリニックから送迎の条件として以下のような通達があったからです。

「ご本人だけだと、何か問題があった時に運転手では対応できないため、必ず付き添いの方が一緒にいてください」

ご家族は様々な状況のため対応できず、ケアマネージャーさんとも相談され、訪問ヘルパーさんを頼むことにされたのでした。

このような訪問ヘルパー活用方法もあります。

後から訪問ヘルパーさんに『生活援助』のサービスを追加してもらうことは可能か?

可能です。

М様への訪問の続きです。

その後、М様には夕食の支度を整えるというサービスも追加されることになりました。

人工透析から帰宅されたМ様は、フラフラしながら家に入って行かれます。

その後、遅めの昼食を摂られるのですが、ご自分で用意するのが困難になりました。

それで、『お迎え』の身体介護に加えて『調理』の生活援助を追加することになりました。

訪問時間もその分長くなりました。

ここから先は、僕とМ様のエピソードなので、関心のない方は飛ばしてください。

ポイントは、『訪問ヘルパーのサービス内容を追加することはできる』という点です。

僕は調理が苦手です。

М様はもともとグルメだったようですが、今はお体のことを考え、塩分控えめにしておられました。

調理のサービスには予習が効きません。その日、その時、ご利用者にお会いし、又は冷蔵庫を開けて初めてどんな材料があるかがわかるからです。

サイコロトークのように、何が出るかわかりません。

М様はどこで手に入れたのか「これ、作ってください」と一枚の紙を差し出されました。

それは料理の完成写真が載ったレシピカードでした。

何が出たかというと・・・・・・・・『肉巻き』でした。

野菜の肉巻きです。

僕の記憶を探っても、これまでの人生で(大げさ)一回食べたかなというぐらいの料理です。

裏には作り方が記載されていました。

なになに・・・・・人参と、いんげんと、黄色パプリカを細く切って、レンジでチンして、薄切り肉で巻いて焼くのか~、タレも作って~

・・・・・・・・難しいなぁ。

ピンクのギンガムチェック柄のエプロンを身に着け、台所で一人作り始めました。

片栗粉でくっつけてはみたものの、巻きがゆるかったためかぐずぐずになったりしましたが、何とか『野菜肉巻き』のような物が出来上がりました。

М様の元へもって行くと、

「できましたか~、ありがとうございます」と声をかけてかけてくださいました。

出来栄えを見てちょっと微妙な笑顔でした。

召し上がっていただく間に、台所の片付けなどを行いました。

失礼する前にご挨拶すると、お皿にはまだ肉巻きが載っていました・・・・・・?

次の日、午後2時頃お迎えのために訪問させていただきました。

帰宅後はいつも、何か少し召し上がってからお昼寝をされます。

僕  「何を召し上がりますか?」

М様  「鍋にスープが入っているから、それをお願いします」

僕  「わかりました。すぐに用意しますね」

お鍋のふたを開けてみると・・・・・・ん?・・・・・・なんか見覚えのあるものが・・・・・・

みな様お察しの通り、昨晩僕がお作りした肉巻きが沈んでいたのです。

肉巻きはМ様の手によってスープへとリメイク?されていたのです。

僕のテンションもぐっと沈んでいきました。

なんでこうなっちゃったのかな?という思いと格闘しながらなんとかスープを温め、М様の元へお持ちしました。

「できましたか~、ありがとうございます」

いつものように笑顔です。

そして、

「いやー、昨日作ってもらった肉巻きの野菜が硬かったもんで、スープにしたんですよ~」

屈託なくこのようにおっしゃいました。

「そうでしたか、それは申し訳なかったです。余計なお手間をかけさせてすみませんでした」

お詫びをするしかありませんでした。

М様は歯がお悪く、野菜が噛み切れなかったのでした。

もっと柔らかくしなければいけなかった。野菜をチンする時間をもっと長くすればよかった。

わざわざヘルパーさんを頼み、何を作ってもらうか考え、材料を用意してくださったのに、それに十分こたえることができなかったのです。

もし、このように言われたとしても仕方がない状況です。

「こんなもの作って、食べられないじゃないか!」

「もっと柔らかくしてもらわないと困る!」

「材料代かけてるんだから、無駄にするな!」

「もっと料理の上手な人に交代してもらえ!」

恨みがましいことや、非難めいたことは一言もおっしゃいませんでした。

なぜ、そのようなことは言われなかったのでしょうか?

今となっては、もうお聞きすることはできません。

言って当然のことをあえて言わないというのは、簡単なことではないと思います。きっと、相手のことを思いやってのことだと思います。

「男のヘルパーさん、しょうがないなぁ」

というような、広く包み込むような優しさをプレゼントしてくださったのだと思います。

この場合、相手のことを思いやるというのは、自分のある部分を犠牲にすることではないでしょうか。堅苦しく言うなら『権利を放棄する』というふうに思えます。これもまた簡単ではないですね。サラッとこんなふうにできてしまうのは、本当に人格者だと思います。

自分を犠牲にする、人をそのように動かすものというのは・・・・・・感謝の気持ちなのかもしれません。М様のことを考えると、僕にはそのように思えました。

М様も屈託なく「ありがとうございます」と、それは丁寧におっしゃってくださいました。

М様は僕に感謝してくださっていたのでしょうか?恐縮ですが、きっとそうだったにちがいありません。

僕もМ様に感謝していました。

朝、送迎車をご一緒に待っている数分は、心地よいひと時でした。

「今日もいい天気ですね~」

「そうですね~」

これで十分でした。

お互い様だったのかもしれません。

どなたかとお互い様だと思える・・・・・・・素敵なことですね。

訪問介護という仕事に携わることができ、貴重なことをたくさん教えていただいています。

そして・・・・・・もっと調理の腕を上げたいと思います。

独居高齢者に対して訪問ヘルパーが行うサービス内容を追加してもらう手順は?

2つの方法があります。

ケアマネージャーさんに相談する

親御様を担当しておられるケアマネージャーさんに連絡し、事情をお話しすることができます。

ケアマネージャーさんは、状況を考慮し、訪問ヘルパーさんの派遣責任者であるサービス提供責任者に連絡し、相談の上訪問ヘルパーさんの行うサービス内容を変更してくれます。

その後、ケアプランに新しいサービス内容を追加し、ご利用者やご家族に説明します。

ご利用者とご家族が納得されましたら、サインや印鑑をいただき、変更が完了します。

あとは訪問ヘルパーさんを待つばかりです。

訪問ヘルパー派遣の責任者であるサービス提供責任者に連絡する

親御様への訪問ヘルパー派遣の担当者である、サービス提供責任者に直接連絡し、事情をお話していただくことができます。

希望を率直に伝えてみてください。

サービス提供責任者は、担当している訪問ヘルパーさんの予定などを考慮し、親御様の必要にこたえられるよう調整を図ります。

ケアマネージャーと相談もします。

最終的にはケアマネージャーがケアプランを作成しなおし、その後新しい内容が追加されたケアプランに沿って訪問ヘルパーはサービスを行っていくことになります。

最終的にはケアマネージャーの判断が必要になりますが、まずは、ご本人やご家族が事情を話しやすい方(ケアマネージャーでもサービス提供責任者でも可)に相談してみましょう。

訪問ヘルパーさんにサービス内容を追加してもらうことのデメリット

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高齢の親御様が独居生活を続けていくために、必要なサービスが増えてしまうのは仕方がないことです。

デメリットとして2つ取り上げたいと思います。

担当する訪問ヘルパーが別のヘルパーに交代する場合がある

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ご利用者へのサービス内容が増えると、その分訪問する時間も長くなります。

訪問ヘルパーは、次の家から次の家へと移動して訪問していきます。

なので、1軒のご利用者宅への時間が長くなると、一日の予定を調整しなければならなくなります。

場合によっては、サービス内容に追加が生じたご利用者宅へは別の訪問ヘルパーがお伺いすることになるかもしれません。

担当している訪問ヘルパーと仲良くなり、毎回やって来るのを楽しみにしてくださるご利用者もおられます。

その訪問ヘルパーが別のヘルパーと交代してしまうことを残念に思われるご利用者もおられるので、デメリットとなるかもしれません。

しかし、訪問ヘルパーのサービスを追加しなければ身体面や生活面で困難が生じてしまうので、仕方がないかもしれません。

単位が足りなくなる場合がある

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要介護認定に応じて、利用できる単位の上限が決まっています。(介護保険内で1割や2割の負担で利用できる上限)

もし親御様が様々な介護サービスを利用されている場合、単位がいっぱいになっているかもしれません。

その上、さらに訪問ヘルパーさんのサービスを追加することによって単位が上限を超えてしまうこともあり得ます。

上限を超えると、その分は全額実費負担(10割負担)となります。

それを避けるために、ケアマネージャーさんは親御様の介護保険利用状況を再検討し、上限を超えないようにプランを考えてくれます。

独居生活を送る親御様の必要とされる介護サービスの優先順位を今一度見直すことによって、経済面での負担を増やすことなく、活動的な独居生活を続けていくことができるように考えてくれますので、よく相談してみましょう。

まとめ

訪問ヘルパーは身体介護生活援助を行っていきます。

独居生活を送る高齢者の状態やご家族の状況の変化によって、『追加』のサポートが必要になる場合があります。

サービス提供責任者は、ケアマネージャーさんと相談の上変更を考慮し、調整を図ります。

ただし、デメリットとして、慣れ親しんだ訪問ヘルパーさんに代わり、別の訪問ヘルパーさんがお伺いすることや、費用負担が増える可能性があります。

しかし、ケアマネージャーさんやサービス提供責任者と優先順位などをよく相談することによって、有用な形で介護サービスを利用していくことができます。

独居生活を送る高齢の親御様のために、最大限訪問介護サービスを活用していただきたいと思います。

最後までお読みくださりありがとうございました。

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