義父の退院準備、最短方法を知らなかった我が家の失敗例

高齢者の生活関連

ご訪問いただきありがとうございます。

義父の退院の準備を失敗しました。

当時僕はまだ高齢者介護の仕事に携わっておらず、介護保険制度についてよく知りませんでした。

今回の記事では、当時を振り返り、入院中の義父のために、退院するまでの間にやっておきたかった準備の方法や内容その理由についてご紹介したいと思います。

しっかりと準備していれば、義父も僕たち家族も心身両面で負担を軽くできたはずです。

親御様の退院に向けて、介護保険を活用しての準備を考えておられる方にとっては、参考にしていただけるのではないかと思います。

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1 退院に向けての準備の初めは何か?

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1-1 介護認定を受けておられない場合

親御様のお体の状態やご家族の状況にもよりますが、介護保険サービスを活用して準備を整えることができます。

では、その初めに何をすれば良いのでしょうか?

それは、役所に要介護認定を申請して介護認定を受けることです。

介護認定を受けることによって、様々な介護サービスを活用した準備を始めることができます。

通常は、役所に行って申請し、介護認定調査員の方に来ていただいて調査を受け、30日位待って、それから介護認定の結果(介護度)を受け、そこからはじめて介護保険を使って必要な準備をすることになります。

仕方のないことですが、とにかく時間と手間がかかります。
主治医に意見書を書いてもらったりも必要・・・)

ちなみに・・・
認定結果が『非該当』になるかもしれません。『非該当』の場合、介護保険サービスを使うことができないので、介護保険を使っての準備は何もできません。

しかし、認定が出るまで待てない(退院が決まったなど)場合もあります。

その場合はどうすればいいのでしょうか?

もっと早く、最短の準備をする方法があります。

それが、『暫定ケアプラン』を活用するという方法です。

入院中であっても、介護認定結果が出ていなくても(最長30日待たなくても)介護保険サービスを先行して活用する方法があるのです。

僕たちはこの制度のことをまったく知らなかったです。

なので、義父が退院して家に帰って来てから、やっと役所に申請に行きました。

準備どころか、すべてが後手後手になってしまいました。

2 介護認定をまだ受けていないのに、介護保険サービスを使える

通常は、介護度が出た後(要支援1~2、要介護1~5、又は非該当)ケアマネさんを決めて、必要な介護サービスを提供する事業所(福祉用具の業者さんや訪問介護事業所など)と契約して、それからでなければ介護保険の諸々のサービスを使うことができません。

ところが実は、介護認定の結果が出る前に介護保険サービスを活用することができるのです。

厚労省の通達では以下のようになっています。

暫定ケアプランについては、基本的にはこ れまでと同様とすることが考えられる。したがって、 要介護認定又は要支援認定を申請した認定前の被保険 者は、市町村に届出の上で、居宅介護支援事業者又は 介護予防支援事業者に暫定ケアプランを作成してもら い、又は自ら作成し、当該暫定ケアプランに基づきサ ービスを利用することが考えられる。

厚労省平成18年4月改定関係Q&A

この『暫定ケアプラン』という方法です。

3 どうやって『暫定ケアプラン』を使えるようにするのか?

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最初に挙げたことの繰り返しになりますが、まずは役所に要介護認定の申請に行きます。

親御様が市町村に届け出(要介護認定の申請)をすれば、入院中であっても、『暫定ケアプラン』に基づいてサービスを受けることができます。

親御様は入院していて行けないので、ご家族が申請に行くことになると思います。

なぜ、介護認定の申請中であり、認定の結果が出ていないにもかかわらず、介護保険サービスを活用できるのでしょうか?

それまで待てない場合があるからです。

認定結果が通知されるまでの間は、暫定的な被保険者証(介護保険資格者証)が交付されますので、親御様はこの資格者証を提示して『暫定』でサービスを利用することができます。

『暫定』の介護保険サービスであっても、『プラン』が必要です。

だれが作ってくれるのでしょうか?

地域包括支援センター

どこかの居宅介護支援事業所のケアマネージャーさん

です。

地域包括支援センターに行かれた方がいろいろな事業所とのパイプがあるので、話が早いのでおすすめです。

親御様の容態などを相談され、『認定結果が要介護の可能性が高い』と判断されると、居宅介護支援事業所を紹介してくれる場合もあります。

状況によっては、そのまま地域包括支援センターの職員の方(その方は『要支援』認定の方を担当するケアマネージャーさんです)が『暫定ケアプラン』を作ってくれることもあります。

4 『暫定ケアプラン』を作ってもらうことができる理由にはどのようなケースがあるか?

緊急に介護保険サービスを利用しなければならない理由があるはずです。

例えば、退院が早めに決まることがあります。

仮に、退院が来週に決まったとしたらどうするでしょうか?

まだ、介護保険の申請もしていません。

『役所に介護保険の申請をしてから要介護認定の結果が出るのは30日以内』ということになっています。

申請をしていないと、入院中に準備をすることはおろか、退院後しばらく経ってからでないと介護保険を何も使えない状態のままです。

それは困ります。

そうしたことを避けるために『暫定ケアプラン』を作成し、介護サービスを利用できるようにしておくことができるのです。

例えば、どんな困ることがあるでしょうか?

4-1 困る例1 入浴

親御様のお体の様子、ご自宅の浴室の環境によっては、ご自分で入浴するのは危険で困難な場合があります。

手すりなどを取り付けるために住宅改修工事が必要ですし、シャワーチェアなどの福祉用具もレンタル又は購入しておくことが必要です。

なんとかご家族が対応しようとされるかもしれません。

しかし、例えば、大柄なご主人様を小柄な奥様がお風呂に入れてあげるのは実際的でしょうか?

また、独居であれば自宅での入浴は難しいです。

参考例:このような方がおられました
糖尿病のため、入院していたご主人様が退院されました。
「オレは大丈夫だ」と言ってお風呂に入ったものの、長湯によって体力が奪われ、ご自分ではお風呂から出られなくなり、奥様がいくら手伝ってもどうにもならず、仕方なく救急車を呼んだ、という方がおられます。
しかも、同じことを何度何度も繰り返してしまったのです。
言うことを聞き入れない旦那さんを持つ奥様は大変です。(逆パターンもあります)
「自分は大丈夫だ」というお気持ちを持っておられて良い部分と、そうでない部分があります。
入浴には危険が伴うので、介護保険サービスを活用していただきたいです。

より安全に、安心して入浴できるように備えておきたいものです。

その中には、ヘルパーによる入浴介助が必要な場合も多いです。

自宅での入浴をあきらめ、別の方法を選ばれる方もおられます。

ケアマネージャーさんを通して、デイサービスを申し込み、そこで入浴されている方もいらっしゃいます。

その場合は、帰宅に合わせてデイサービスに通うことができるように申し込みをしておかなければなりません。

独居であれば、朝の『送り出し』や帰りの『迎え入れ』のためにヘルパーさんに来てもらう必要がある場合も多いです。

そうであれば、送迎の時間に合わせてヘルパーの訪問も必要になります。

4-2 困る例2 寝る 起き上がる

もしも、脳梗塞の後遺症で半身にマヒが残ってしまった場合、床に布団を敷いて寝るのは非常に困難です。

寝るのも起き上がるのも非常に難しいです。

仮に、ベッドであったとしても、普通のベッドだと柵がないのでつかまるところがなく、起き上がるのが難しいです。

うちの義父はこのパターンでした。

また、ある方は車椅子や杖や歩行器などが必要かもしれません。

そうした福祉用具の準備も退院前に必要です。

介護認定を受け、介護保険を適応してもらわないと、すべて実費負担となり、あれこれ用意すると高額になってしまいます。

4-3 困る例3 食事

もしも親御様が独居生活を送っておられるならば、退院後、食事の用意はどうするのでしょうか?

今までと同じように生活するのが困難であれば、そのための備えをしておかなければなりません。

一日3食、ご家族が用意されるのでしょうか?

退院に合わせてヘルパーさんの訪問を依頼しておき、食事を作ってもらうことができます。

また、食料品をご本人は何らかの方法で調達することができるでしょうか?

もし難しいなら、ヘルパーさんに買い物代行をしてもらう必要があるかもしれません。

4-4 我が家の場合の困ったこと

義父はこれらすべてにおいて困っていました。

自宅で入浴もできず、移動に必要な手すりもなく、体の必要を補うベッドもなく、食事も自分で用意できませんでした。

妻は一人娘であり、ほかに手助けしてくれる人はだれもいません。

すべてにおいて義父をサポートする必要がありました。

幼い子供たちを抱えた僕達たち家族の生活と、義父の必要との両方を顧みるのは困難であり、心身を削る毎日となっていました。

5 我が家の失敗

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義父はスーパーでの買い物中に脳梗塞で倒れ、救急搬送後入院となりました。

その後回復し、リハビリ入院を経て約半年後に家に帰って来ることができました。

当時を振ると『入院中に準備をしておきたかった』と残念に思います。

治療のための入院からリハビリのための入院に変わった時が、チャンスでした。(もっと早くてもよかった)

リハビリ入院の期間は1ヶ月ありました。

そのタイミングで役所に『介護認定の申請』をしておけばよかったのです。

そうすれば、入院中に『介護認定調査』を受けることができました。

ありがたいことに、認定調査員の方は、病院まで来てくれるのです。

そして、役所に申請しておけば、先に述べた通り、『暫定的な被保険者証(介護保険資格者証)』が交付され、それを使って『暫定ケアプラン』をケアマネージャーさんに作っていただくことができたのです。

申請さえしておけば、『要介護認定』の効力は申請日までさかのぼるので、ふさわしタイミングでいつでも介護サービスを活用することができたのでした。

ケアマネージャーさんと相談し、住宅改修工事を頼んだり、必要な福祉用具を用意すること、食事提供のためにヘルパーさんを頼んでおくことなどを『暫定ケアプラン』の中に含めてもらうことができたのでした。

退院までの1ヶ月の間に、介護認定の結果を待ちつつ、『暫定ケアプラン』によって退院後を見据えた準備しておくことができたはずでした。

ポイントは、
1 地域包括支援センターに相談に行く
2 一刻も早く役所に『要介護認定』の申請に行く

我が家はここが抜けていました。大きな失敗でした。

義父の場合は、退院後に認定調査を受けたため、介護保険サービスを利用するのが随分後になってしまいました

5-1 『暫定ケアプラン』活用についてのまとめ

義父は脳梗塞の後遺症のため、半身にマヒが残りました。

いくらリハビリを頑張ったとしても、元には戻りません。

自宅に帰っても、以前と同じような生活を送ることができないことは明らかでした。

戻ったその日から、生活が難しくなることは分かり切っていました。

『暫定ケアプラン』を立てていただいていれば、退院する前に準備を整えておくことができたのです。

ここまでをまとめると以下のようになります。

まずは、地域包括支援センターに相談に行く。
そして役所で『要介護認定』の申請をする!

・必要な物:介護保険被保険者証
65歳になると全員に送られてきます。
もし紛失してしまっても、役所に申請すれば再発行してもらえます。

・退院後を見据えて、入院中に介護保険サービスを活用するためにできること
認定結果が通知されるまでの間は、暫定的な介護保険資格者証・被保険者証が交付されるので、この資格証を使って介護保険サービスを暫定で使うことができます。

『地域包括支援センター』又は、どこかの『居宅介護支援事業所(ケアマネージャーさんのいる事務所)』に行き、どなたかにケアマネージャーさんになっていただき『暫定ケアプラン』を作ってもらう


介護サービスは、役所に申請した日にさかのぼって利用することができるので、すぐに準備を進めることができます。
そうすれば、住環境を整備したり、福祉用具を用意しておくことができます。

注意点
介護保険資格者証が使えるのは、正式な介護認定が出るまでです。
あくまでも暫定なので、もしも、認定結果が非該当(自立)となってしまった場合は、暫定で利用したサービスの全額を負担しなければなりません
先に、利用する住宅改修工事や福祉用具の業者さんに全額支払い、正式な介護度が出た後、介護保険に相当する分を返してもらうことになります。(『要介護』1~5なのか『要支援』1~2なのか、それとも『非該当』なのか分からないためです。)

結局、義父の場合、退院後に役所に申請に行き、自宅で認定調査を受け、(普段しないようなことやって頑張ってしまった)介護認定が出てから、必要な介護保険サービスを申し込むことになりました。

それぞれのサービスが始まるまでの間は、僕達家族がほぼ毎日義父の所へ通い、食事や洗濯、買い物などのサポートを行っていました。

幼い子供たちがいたので、非常に目まぐるしい毎日になりました。

自分たちの家のことや子供たちのこと、僕たち夫婦の心身の状態など様々な点でバランスを取るのが難しかったです。

気持ちの余裕もなく、子供たちにふさわしい対応ができず不憫な思いをさせることもありました。

6 義父の退院と同時に活用したかった介護保険サービス

ここからの記事では、義父の退院後すぐに活用できるようにしておきたかった介護保険サービスについてご紹介したいと思います。

まとめると、以下の点です。

*退院までに準備しておきたかったこと
・住宅改修工事(手すりや段差解消の工事)
・福祉用具レンタル(ベッドや杖など)
・訪問介護(訪問ヘルパー)を依頼
*介護する家族として知っておきたかったこと 
 レスパイトケアの活用(介護保険適応のサービス)

・デイサービス
・ショートステイ

まずは、ケアマネージャーさんを決めさせていただきました。

亡くなった義母がお世話になったケアマネージャーさんにお願いしました。

義父も含めて、ケアマネージャーさんと相談し、住宅改修工事、福祉用具レンタル、ヘルパーさんの派遣、デイサービスを利用することに決めました。

その後、サービス担当者会議にて、ケアマネージャーさんをはじめ、各業者の方たちともよく相談し、各サービス利用が始まることになりました。

7 1つ目の準備 住宅改修工事

義父は介護認定を受け、『要介護4』との認定を受けました。

ケアマネージャーさんのお話しによると、脳梗塞の後遺症で半身がマヒしてしまっていることや、難病のパーキンソン病も抱えていること、独居であることなどが考慮され、「重く出た」とのことでした。

『要介護4』の認定だと、1ヶ月に介護保険を使える金額が30万9,380円もあり、十分でした。
(自己負担は1割だったので、最大使っても支払金額は3万938円です)

それとは別に、『住宅改修工事』を頼むことができます。

父の自宅は築70年程経つ、昔ながらの平屋建てでした。段差も多く、つかまるところがあまりないので手すりを取り付けほしいと思っていました。

介護保険適応の住宅改修工事は、20万円まで使うことができます。

義父の収入の場合、自己負担は1割なので、最大限使っても2万円の負担で済みます。
(収入によって負担額が2割になっている方は、工事費用も2割負担になります。先に全額支払い、後で役所に申請して8割返してもらいます。20万円以上になってしまったなら、その分は実費負担になります)

できれば相見積もりを取ってください!
ケアマネージャーさんにはたいがい、お付き合いのある工事の業者さんがいます。
ですが、実は費用を抑えながら良心的な工事をしてくださる業者さんもたくさんあります。何件かの業者さんに相見積もりを取り、費用を比較していただきたいと思います。

まだ入院中の頃に、病院のリハビリの先生が『家屋調査』のため自宅を訪問してくださいました。

リハビリ中のふさわしいタイミングで、自宅での生活状況を見てくださるのです

どこに段差があるか、お手洗いの場所、居間や寝室の様子、寝室から玄関までの動線など確認してくださり、その住環境に対応できるようにその後のリハビリを行ってくださいました

その機会に、一時帰宅した父、僕たち家族、ケアマネージャーさんにもおいでいただき、みんなで手すりを取り付ける場所や高さなどを相談しました。

玄関にL字型手すり一本、上がってすぐの応接間の壁に1.8メートルくらいのよこ手すり一本、トイレにL字型手すり一本を取り付けることになりました。

ただし、実際に工事を行ったのは、退院後1ヶ月程経ってからでした。

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写真は参考例です:手すり一本あるだけで安全度が増します
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写真は参考例です:トイレは、座る、立ち上がる、向きを変えるなど様々な動作が関係するので、手すりが必要です

玄関の土間にも上がり框までの段差があったので、オーダーメイドで大きめの踏み台を作っていただきました。

ちなみに、市販品の踏み台もあります。

多くのお家の玄関は、片側は壁になっていますが、反対側には下駄箱があります。

片側にしか手すりを取り付けることができません。

家から出る時と帰って来る時とでは、体の向きが反対になるので、両側に手すりがあるとベストです。

さらに、踏み台の幅が狭いと、足を置く時に不安定ながら狙いを定めることになり、『体のバランスを崩さないか』という不安がよぎります。

この商品のように幅が広ければ、気持ちに余裕を持って上がり下がりすることができます。

ご参考にしていただければと思います。

『家屋調査』の機会に義父も自宅に帰って来られて喜んでいましたし、手すりが取り付けられるようケアマネージャーさんが請け負ってくださったので「帰って来た後も安心だ」と言っていました。

8 2つ目の準備 福祉用具を用意

自宅での生活をより安全に、より快適にするために、福祉用具が必要でした。

義父の場合は、以下の物を用意しました。

8-1 介護用ベッドをレンタル

介護保険が適用される『福祉用具』をレンタルしました。

それまでは市販のベッドを使用していましたが、今度は介護用のベッドをレンタルすることにしました。

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写真は参考例:介護用ベッド

3モーターの介護用ベッドです。

3モーターというのはなかなか優れものです。

・電動で背中が上下する

・電動で膝を上げてくれる(背中と連動させることもできる)

・ベッドの高さを電動で上下させることができる

という機能が付いています。

『背中が上下する』というのは、早い話がボタン一つでリクライニングする機能ということです。

『膝を上げてくれる』というのもありがたい機能です。足を上げることができるので、足のむくみを軽減できます。

背中を上げた時に自動で膝も持ち上がる機能が付いているので、お尻が支点となり、体がズルズルずれてしまうのを防いでくれます。

『ベッドの高さを上下させることができる』ので、父も立ち上がりやすかったですし、介護する側もオムツ交換など何かとやりやすかったです。

ベッドに柵も取り付けたので、つかまるところもできました。

レンタル費用は介護保険が適用されるので、月に1,500円程でお借りすることができました。

このベッドは、退院後、業者さんに設置していただきました。

もっと早く用意しておけば、退院当日から使うことができ、半身マヒの体への負担や転倒の危険を減らすことができたはずでした。

しかし、しばらくは今までのベッドをそのまま使っていたので、片手で起き上がったり、立ち上がるのもひと苦労な思いをさせてしまいました。

今は、写真のような置くだけの手すりもレンタルできます。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: ベッドサイド手すり.jpg

立ったり座ったり、起き上がったりする時にはつかまるところが必要です。

仮に1割負担の方ですと、400円もしないで借りることができます。

購入を希望される方もいらっしゃいますので、ご参考までにご紹介します。

ただ、福祉用具を幾つもレンタルすると、毎月の支払いが結構な額になってしまうので、長く使う物であれば購入したい、という方もいらっしゃいます。

8-2 杖

リハビリの先生からは、サイドウオーカー(歩行器)がいいのではないか、とすすめられました。

安定感抜群です。軽くて、折りたためます。

見た目ほど重くなく、倒れる心配もないので、自宅でしばらく使っていたのですが、全体が大きくどうしても場所を取るので、使わなくなってしまいました。

それで、このような杖を使うことにしました。

自立タイプがおすすめです。

自立してくれるので倒れたりしません

1ヶ月のレンタル料はわずか120円程でした。

別のタイプの物もあります。

僕がヘルパーとして訪問していたご利用者の中には、半身マヒされているものの、麻痺側の手を少しは動かしたり、物をつかんだりできる方もいらっしゃいます。

なるべく使って、残存機能を保持したいです。

そうした要望に応えるタイプの杖もあります。

両手を使って立ち上がることができます。

ちなみに、ヘルパーとして訪問している方で、杖を利用しながらご自宅で暮らしておられる方の多くが、自立するタイプの杖を使っておられます

このタイプを使っておられる方も多いです。

自立してくれるので便利です。

軽いですし、接地面が小さいので、足に引っかかることも少なくおすすめです。

皆さん、室内用と外用と2本用意しておられます。

ここでは、杖ばかり強調しているようで恐縮なのですが、毎日使うものなのでとても大事です。

義父も、使わなくなってしまった杖があったので、皆さんには無駄のないようにしていただきたいと思い、ご紹介させていただきました。

9 3つ目の準備 訪問介護サービス(訪問ヘルパー)を依頼する

ヘルパーさん達には、どれだけ感謝しても感謝しきれません。

ケアマネージャーさんが訪問介護事業所(ヘルパー派遣の事業所)に連絡してくださり、ヘルパーさんの訪問を依頼してくだいました。

ケアマネージャーさんは妻の予定を確認してくださり、どうしても義父のところに行けない日にヘルパーさんが訪問してくれるよう取り決めてくださいました。

週に3回、夕食を作りにきていただきました。

義父は、手作りの温かい晩ご飯を食べられるのをとても喜んでいました。

ヘルパーさんとも仲良くなり「○○ちゃんが・・・・」などとよく話題にしていました。

独居生活であり、僕たちも毎日通うことはできなかったので、ヘルパーさんたちのサポートは義父にとって心温まるひと時だったのです。

体の具合がさらに悪くなってくると、オムツ交換や服薬介助などもお願いするこにとなりました。本当に、親身になって介護してくださいました。

随時、ケアマネージャーさんに状況を相談すると、ヘルパーさんを派遣する事業者の責任者(サービス提供責任者)と相談してくださり、可能な範囲で必要な変更をしてくださいました。

ただし、ヘルパーさんを頼めば、必ずその希望通り来てもらえるわけではありませんでした

ヘルパーさんたちの人数が不足しているからです。

1か所の訪問介護事業所からでは足りなかったので、2か所の訪問介護事業所からヘルパーさんに来ていただきました。

本当は、週末にも来ていただきたかったのですが、『派遣できるヘルパーさんがいないから家族で頑張って』とケアマネージャーさんから言われ、その分は家族でサポートすることになりました。

子供たちも一緒に連れていき、義父も含めみんなで食事することになりました。

子供たちが騒いでしまうと、義父は機嫌が悪くなってしまうので、気を遣いながら通っていました。

妻への負担がどうしても大きくなり、一人娘なので仕方がないのは分かっているものの、ストレスが溜まっていきました。

10 知っておきたい言葉『レスパイトケア』

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是非介護者の方に知っておいていただきたい言葉があります。

『レスパイトケア』という言葉です。

『小休止』という意味です。

介護するご家族が『小休止』できるようにするのです。

10-1 レスパイトケアその1 デイサービス

デイサービスは、非常に便利な施設です。

1日に以下のようなサービスを受けることができます。

送迎
食事
入浴
体操・レクリエーション
服薬(必要な方)
他の方との交流
など

退院後、義父は自宅で入浴することができず、デイサービスで入浴していました。

デイサービスという所を知らなかった義父は、初め、あまり乗り気ではなかったのですが、行ってみると楽しかったようで、結局週に3回通うことになりました。

義父は歌が大好きで、よく職員の方から「○○さん歌ってください」と言われていました。頼まれると断れないタイプだったので、気持ちよく歌声を披露していました。

自宅までの送迎もしていただき、暑さも寒さも心配することなく一日過ごすことができました。食事も取れれば、入浴もでき、職員さんや他の利用者の方とも良い交流の機会となり、大満足でした。

そして、帰ってくれば、今度はヘルパーさんが夕食を作ってくださり、メリハリのある生活を送れるよう支えられていました。

デイサービスに行っている時間に、妻は少し休みをとったり、自分の家族のことを行うことができました。

物理的な時間ができることもそうですが、『何かあったらすぐに対応しなければならない』という緊張感から解放されるのも大きなサポートになりました。

10-2 レスパイトケアその2 ショートステイ

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妻は一人娘であり、ほかに義父をサポートしてくれる方はいませんでした。

僕にも仕事があり、子供たちもまだまだ手がかかる状況でした。

それで、ケアマネージャーさんと相談し、時々、ショートステイを利用することにしました。

義父がデイサービスに行くのが週に3日。

ヘルパーさんが夕食を作ってくれるのが週に3日。

それ以外は妻がやらなければなりませんでした。

ほぼ毎日通い、掃除、洗濯、ヘルパーさんが来ない日の食事作りなどを行っていました。

下の世話ももちろん含まれていました。

子供たちの世話や、我が家のことなど、僕と手分けして行う毎日でした。

『ショートステイ』のことなど、それまで全然知りませんでした。

ケアマネージャーさんが我が家の状況を見て、提案してくださいました。
(もっと早く教えてほしかった!)

家族から義父にショートステイに泊ってくれるよう話すのは、気が引けました。

『施設に入ってください』と言っているようで、まだまだ家にいられると思っている父にとっては好ましくないと思ったからです。

それで、ケアマネージャーさんにショートステイを利用していただくよう説得をお願いしました

義父は渋々承諾してくれました。

ケアマネージャーさんはショートステイをすぐに探してくださり、2泊、3泊など、我が家の都合に合わせて義父に泊りに行ってもらいました。

介護を続けるためには、レスパイトケアが絶対に不可欠です。

介護者が心身ともに倒れる十分前に、休める手立てを作っておくのは大事です。

10-3 介護保険サービスに支えられる

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介護保険サービスを実際に利用することによって本当に支えられました。

父の生活がただ楽になるというのではなく、人のぬくもりを感じながら暮らしていくことができていました

ヘルパーさんやデイサービスの職員の方の接し方を見ると、父のことを本当に気遣い、心から支えたいと思っておられることが僕たち家族にも感じられました。

このことから、僕たち夫婦も一層父を支えたいと動かされました。

こうした側面からの励ましも大きかったです。

11 まとめ

ここまで、義父の退院のために準備したかった点について考えてきました。

介護保険サービスとして利用しておきたかったこと

地域包括支援センター駆け込み相談する

なるべく早く役所に要介護認定調査の申請をしておく

ケアマネージャーさんに『暫定ケアプラン』を立てていただく
(そのプランの中には住宅改修工事、福祉用具のレンタル、訪問介護(ヘルパーさん)の依頼を含めてもらう。入浴のため、デイサービスも申し込んでおく。

自宅での受け入れ態勢がしっかりできていれば、本人も家族もより安心して過ごしていくことができます

遅くはなってしまいましたが、これらの準備が整った後は、義父も僕たち家族も、想像していた以上に暮らしやすくなりました。

介護者が少しでも休めるように、みな様にもレスパイトケアをうまく利用しながら親御様の在宅生活をサポートしていただきたいと思います。

今回取り上げさせていただいたのは、義父の例ですが、僕が介護サービスを提供させていただいている方の幾人もの方は、脳梗塞による半身マヒを抱えておられます。

それでも、いろいろなサービスを組み合わせて利用しながら、頑張って生活していらっしゃいます。

関連記事:ヘルパーの提供するサービスの組み合わせの例
・独居生活を送る親のためにヘルパーを頼む。身1生1実例紹介

ケアマネージャーさんや、サービス提供責任者(ヘルパーの担当責任者)とよく相談することによって、親御様やご家族にとって、さらに良い仕方で介護保険サービスを活用していただけることを願っています。

是非、ご参考にしていただければ幸いです。

最後までお読みくださりありがとうございました。

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