ご訪問いただきありがとうございます。
介護福祉士として、ご自宅で生活される高齢者の方をサポートさせていただいているサード・ラプソディです。
男の訪問ヘルパーです。
男がヘルパーさんをやっていくためには、それなりに気を遣っていく必要があります。
駆け出しの頃は『男』というだけで訪問させていただけなかったり、訪問し始めても、ちょっとしたことでクレームを付けられ、すぐに女性ヘルパーに交代させられることもありました。
でも今は、様々なタイプの方と信頼関係を結ぶことができています。
以前では考えられなかったことですが、他のヘルパーとご利用者の間がうまく行かなくなり、代わりに男である僕が訪問させていただくようになる、ということも何度もあります。
『最後の砦』のヘルパーといったポジションに、いつのまにかなっています。
そうなることができたのは、これから取り上げる5つのことを続けていたからです。
ご利用者の方はいろいろなタイプの方がいらっしゃいます。
可能な範囲で合わせていく必要がありますが、様々なタイプの方に当てはまる方法です。
もしも努力が実を結び、ご利用者とお互いに打ち解け合い、信頼関係が結ばれるなら、サービスを提供しやすくなり、ご利用者にとっても、気持ちの良いさわやかなひと時となります。
お体の具合が悪く、家で出来ることも少なく、刺激も楽しみもない方が多いですが、ヘルパーさんの訪問を楽しみにしていただけるなら、それはステキなことだと思うのです。
今回の記事では、
『利用者の方とどうすれば信頼関係を結べるか?』
という点について取り上げたいと思います。
在宅の現場はもちろん、施設であっても役立つと思います。
いきなりですがその答えは、
『お話しをよく聴く』
です。
これにつきます。
ご利用者の話をよく聴くことは受け身な感じがしますが、実は大切なメッセージを積極的に伝えることでもあります。
それは、『私は〇〇さんのことを大切に思っていますよ』
というメッセージです。
言葉で伝えるわけではないこのメッセージがご利用者に伝わると、相手は、『この人はいい人だ』とか『この人は分かってくれる人だ』『この人は信頼できる』と感じてくださいます。
そう感じていただければしめたものです。
お互いの関係はグッと近づきます。
ちょっとやそっとの失敗や不手際があったとしても、必ず味方になってくれます。悪く捉えられることはまずありません。
不思議なのですが、本当にこの通りなのです。
『お話しをよく聴く』といっても、『ただ聴いていればいい』というわけではありません。
『聴き方』があります。
信頼関係を結ぶための『聴き方』とはいったいどういうことなのでしょうか?
具体的な方法として、以下の5つの点を取り上げます。
(1)大きくうなずく
高齢者は目が悪くなっていらっしゃいます。こちらの表情を読み取れない場合が多々あります。
でも、大きくうなずくなら『しっかり聴いていますよ』というメッセージを伝えることができます。
大きくうなずきながら「本当にそうですね」とか「本当に大変でしたね」「よく〇〇されましたね」などとお伝えすると、
「そうなのよ〜」と言われ、安心されます。
この「そうなの」や「「本当にそう」とのお言葉が返ってくるなら、それは『この人は分かってくれた』と感じていただけた証拠です。
ご利用者は気持ちよくお話を続けられることでしょう。(仕事をしなければならないので、時間を見なければなりませんが・・・)
(2)オーバーなくらいに驚く
自分の言ったことに対し、相手が驚いてくれると、いい気分になります。
『これまで聞いたことも無いようなことを教えてあげられた』とか『ヘルパーさんを驚かせてやった』と思えると、とてもいい気分になられます。
ちょうど、可愛い女の子をビックリさせたような感覚でしょうか、とにかくそういう時のご利用者はとってもいい表情をしておられます。
もちろん、わざとらしい感じにならないように気をつけなければなりません。
目を大きく開いて、上半身をのけぞらせる様にします。
そして大きな声で「え〜、そうなんですか〜」とか「知らなかったです」「そんなことがあるんですか!」などと顔をご利用者に近づける様にして述べます。そうすると相手はとてもうれしそうな表情をされます。
こうしたことを積み重ねていくと、気持ちの上でのお互いの距離は縮まります。
介護を差し伸べる側と介護を受ける側とは、やはり立場が違います。
上下関係とまではいきませんが、何となく介護者の方が優位な感じがします。
高齢者の方の多くは謙遜な方です。
『迷惑をかけている』『世話になっている』とおっしゃる方が多いです。
ヘルパーさんにいろいろやってもらうので、そういう感じがしても仕方がないことではあります。
でも、そこで『ヘルパーさんにいいことをしてあげられた』と感じていただけると、一方通行ではないお互い様な関係が結べます。
これがいいのです。
『高齢なってくると、ワガママになる』
などという話をお聞きすることがあります。それは確かにそうなのかもしれませんが、人間の欲求のひとつに『良いことをしてあげたい!』というものがあるのも事実です。
お話を伺いながら『オーバーなくらいに驚く』なら、『お互い様』という関係が築かれていき、より良い気分を味わっていただくことができます。
心の垣根を取り払い、いい関係を作っていく方法の一つです。
(3)言われた言葉を別の言葉で返す
良い内容のことであれ、悪い内容のことであれ、おっしゃった言葉を別の表現でお返しすると『分かってくれた』と感じていただけます。
例えば・・・
「ゆうべは眠れなかったんだよ」➡ 「睡眠不足は辛いですね」
「忙しくって」➡「売れっ子ですね」
「アレがなくなっちゃったんだよ」➡「お探し物ですね」
「リハビリを頑張りすぎた」➡ 「負けなかったんですね」
慣れないうちは、ご本人がおっしゃった言葉をそのままオウム返しにお伝えするだけでも良いです。
「疲れた」 ➡ 「お疲れですね」
「足が痛い」 ➡ 「足が痛いんですね」
「肩がしびれる」 ➡ 「しびれるんですね」
といった具合です。ちょっとの変化で十分です。さりげなく違った言葉でお返しすると、『こっちの言ったことをちゃんと分かってくれた』と感じていただけます。
問題が何一つ解決したわけではないのですが、ちょっぴり気持ちがなごんでくるのです。
こうした小さなやり取りを一つ一つ積み重ねていくことによって、信頼関係は深まっていきます。
(4)小さな事を感謝する・ほめまくる
ほめられたり、感謝されて嫌な気持ちになることはないのではないでしょうか。
ほめられ、感謝されると『自分に関心を向けてくれている』『自分のことをしっかり見てくれている』とお感じになられます。
わざとらしくならないように、心の奥から感謝やほめ言葉を伝えます。
どんな小さなことでも良いです。
例えば・・・
<掃除のサービスの時に、何か物をどかしてくださった>
➡ ・「やりやすくしてくださってありがとうございます。助かります。」
<買い物代行の時に、あらかじめ買い物の内容をメモに書いておいてくださった>
➡ ・「準備しておいてくださってありがとうございます。時間短縮になって助かります。」
・「○○さんは本当にきちんとしておられますね。」
<オムツ交換の時に声かけに応じて体を動かしてくださった>
➡ ・「上手に動いてくださってありがとうございます。助かります。」
・「おかげさまで腰の負担が少なかったです。ありがとうございます。」
といった具合です。
『ヘルパーさんにいいことをしてあげた』
と思っていただけると、一方通行ではないお互い様な関係が結べます。
これも信頼関係を築く上で大切なことです。
(5)どんなことでもプラスの内容で返答する
お体の調子によって気分や機嫌が変わってくることがあります。
消極的なことばかり言ってこられることもあります。
聞き流すしかない、という時もありますが、この『プラスの言葉で返答する』方法は、お返事を期待して述べるわけではないので、ご利用者にとって負担になりません。
直接励ましの言葉をお伝えすることもありますが、その時の状態によっては、かえってプレッシャーになってしまうこともあります。それは避けたいです。
例えばこんなふうに返答します。
「こんなに具合が悪いんじゃ、どうしようもないよ」 と言われた時。
➡ ・「調子が悪いのに穏やかに応対してくださってありがとうございます。」
・「いつもとあまり変わらないようにお見受けしました。○○さんは辛抱強いですね。」
「子供にお金がかかってしょうがない」 と言われた時。
➡ ・「娘さん(息子さん)のことを大事にしておられるんですね」
・「いつまでも頼られるお父様(お母様)ですね」
「足が痛くって歩くのが大変だ」 と言われた時。
➡ ・「負けないでよく動いておられますね」
・「そんなに痛みがあるようには見えませんでした。○○さんは我慢強いですね。」
といった具合です。
おっしゃったことに瞬間的に返答しなければならないので少し難しいですが、お話しをしっかりとお聴きしていれば、少しずれたことを言ってしまっても決して悪くとらえられることはありません。
(6)まとめとして
だれでも、関わる様々な方と良い関係を結びたいと思っています。
でも、いろいろなことが邪魔をしてしまい、難しくなる時があります。
高齢者に接していると、教えられることが多くあり、感謝の気持ちで一杯になります。
ヘルパーのできることは限られていますが、その時間の中で少しでも心穏やかに気持ちよく過ごしていただけるなら、わずかながらでも感謝を表せるのではないかと思っています。
『お話しをしっかりと聴く』ことによって信頼関係を結んでいきましょう。
ご紹介させていただいた5つの点が皆様のお役に立つことを願っています。
『介護』という決して簡単ではない仕事に取り組まれる皆様に敬意を表します。
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