自宅での入浴のためにヘルパーを活用する。同居家族がいる参考例紹介

身体介護例

自宅での入浴に困難を感じておられる高齢者は多いです。

『めんどくさい』から入らない方もおられれば(数か月に渡り・・・)
『長湯し過ぎて自分で出られなくなった』方もおられます。(救急車出動のケースもあり)

確かに、入浴にはたくさんの危険があります。

清潔を保つため、かつ安全のうちにお風呂に入るため、『入浴介助』という介護サービスをヘルパーさんに頼むことができます。

同居されるご家族がおられても依頼することができます

例えば、退院後、ご自分一人で入浴するのは困難かもしれません。そして、ご家族がお手伝いするのも難しいかもしれません。

デイサービスを利用し、そこで入浴される方も多いです。

でも、できれば「自分の家のお風呂に入りたい!」と思われる方が多いです。

その場合、ケアマネージャーさんに相談し、訪問ヘルパーの利用をご検討いただきたいと思います。

しかし、ヘルパーさんを頼んだことも、ヘルパーさん利用についてお聞きになったこともなければ、イメージがしにくいと思います。

この記事を通して、ご自宅での入浴に必要な物や、入浴介助のためにヘルパーさんを頼んだ『感じ』をご紹介できればと思っています。

この記事は約6分で読むことができます。

退院までにどのような準備をしておくことができるのか、という点と合わせてご参考にしていただければ幸いです。

この記事で分かること
・ご利用者の状況・状態
・入浴介助までに必要な準備
・入浴介助の様子・ご利用者の反応
・入浴介助へのご家族の反応
・難しいと感じた点
・まとめ
・在宅介護の限界が近づく前に
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①自宅での入浴介助を希望されるご利用者の状況・状態

今回ご紹介させていただくT様は80代男性です。

とある省庁の高級官僚をなさっておられた方です。

一軒家にて、奥様と二人で暮らしておられます。

糖尿病や肝臓病、腎臓病、心臓にも疾患があります。

数年前に心臓発作を起こされ救急搬送されました。

手術を受けられ、その後数か月に渡る入院生活を送られました。

入院中に、介護保険の認定調査を受けられ『要介護5(一番重い介護度)』の認定を受けられました。
(ちなみに、入院中に介護認定を受けられると、重く出る傾向にあります)

その後、お体の状態が良くなり、今度はリハビリのために転院されました。

その甲斐あって、数か月後、やっとご自宅に戻ってくることができました。

・自宅での様子

杖を使って家の中を歩くことはできますが、ご自分だけで外を歩くことはできません。

足の踏ん張りがきかず、バランスを崩してしまうと倒れてしまいます。また、一度しゃがんでしまうと、ご自分だけでは立ち上がれません。

家の中ではほとんど動くことなく、ベッドで休んでいるか、椅子に座るかして一日を過ごしておられます。(たまに気が向くと、室内で歩行訓練をされています)

週に1回、訪問リハビリの先生に来てもらっていました。

ちなみに、ベッドで過ごす時間が長い方向けに、お役立ち介護用品を紹介している記事がありますので、ご参考にしてみてください。
・ベッドで過ごされる時間が長い方向け、アイデア介護用品5選

夜中にお手洗いに行かれますが、何度も転んでしまいました。

その度に奥様が起きて対応しています。

排泄や着替え、食事摂取などはご自分でお出来になります。

時々お腹の調子が悪くなり、便失禁してしまうことがあります。

その度に奥様がお世話をされています。

②自宅での入浴介助に必要な準備

自宅での入浴に必要な準備
・福祉用具・・・バスチェアー、浴槽取り付け手すり、踏み台、滑り止めマットなど
・住宅改修工事・・・手すり取り付け(入り口、壁面など)、床面段差解消すのこなど
・必要な場合は訪問ヘルパーを依頼(訪問介護事業所との契約が必要)
ご自宅での入浴に関連した記事がありますので、ご参考になさってください。
・家のお風呂に入りたい親御さんのために!安全度アップの3つの方法

T様介護認定と退院は決まったものの、ケアマネージャーさんが決まっていませんでした。

なので、自宅での入浴に必要な環境や物品の準備が整っていませんでした。

すべて自費で介護用品を購入される方もまれにおられますが、ほとんどの方が『介護保険』を利用され、1割か2割の負担で福祉用具をレンタルされています。

お体の様子にもよりますが、ご参考までに、多くのご利用者が使用している介護用品をご紹介します。

・バスチェアー(福祉用具レンタル)や壁面の手すりは必需品(住宅改修工事)

・浴槽の縁に取り付ける手すり(超便利!)これにつかまって浴槽に入ります(福祉用具レンタル)

・湯船の中にある踏み台に座って浸かります。滑り止めマットも役立ちます(福祉用具レンタル)

・浴室へは一段下がっているので、入り口に手すりがあると安心です(住宅改修工事)

できれば、入院中にケアマネージャーさんを決めておき、退院後すぐに入浴できるように環境を整えておきたいところでした。

ケアマネージャーさんの情報が必要な場合は、ご自宅近くの『地域包括支援センター』に連絡すると教えてもらえます。

認定調査の結果(要支援1・2又は要介護1~5)が出るまでに約30日位かかります。
住宅改修工事、福祉用具のレンタルや入浴介助のため訪問ヘルパーさんを依頼するのは、自宅に戻って来る前に済ませておきたいです。
タイミングが合わなかった場合は『暫定』という形で介護保険を利用することができます。
ただし、万が一介護認定の結果が『非該当』になってしまうと、住宅改修や福祉用具のレンタル費用などの費用は全額自己負担になってしまうので、注意が必要です。
ケアマネージャーさんと事前に相談することが必要です。
もしもまだ介護認定を受けておられなければ、関連記事がありますので、ご参考にしてください
・介護保険活用までの10の道のり。認定前でも使える裏ワザあります

早めにケアマネージャーさんを決めて、相談しておけば、介護保険適応の住宅改修工事や福祉用具のレンタルを段取りしておいてくださいます。

T様の場合は、自宅に戻られてから急いで準備されました。

まだ準備が整わないある日、「まあ、大丈夫だろう」と自力での入浴を試みられました。

浴槽の縁につかまり、なんとかまたいで浴槽の中に入ることができました。

そこまでは良かったのですが、お湯に浸かった後、今度は立てなくなってしまいました。

奥様と、たまたま在宅されていた娘様が大変でした。

すったもんだしながら何とか湯船から出、浴室から脱出することができました。

奥様一人であれば、救急車を呼ぶしかなかったところです。(そういうケースも多々あります!)

それで、ヘルパーを依頼されることになりました。

週に2回、入浴介助の訪問が取り決められました。

ヘルパーとして僕が初めてお伺いした時には、浴室内に手すりなどは何もない状態でした。

入り口に手すりがないので、僕の体を含めて、どこでもつかまって浴室内に入りました。

何とかバスチェアーだけはケアマネージャーさんが早急に用意してくださいました。

その他の準備が整うまでの間は、バスチェアーに座ってのシャワー浴のみとなりました。

浴室から出る際、椅子からとはいえ、立ち上がる時にバランスを崩すことがあるので、T様には僕の腕などをつかんでいただき、僕もお体を支えながら移動しました。

2週間ぐらい経つと、改修工事も終わり、入浴に必要な福祉用具なども揃い、安全度が増しました。

上の写真にあるような手すりやバスチェアー、踏み台などをご用意いただきました。

③入浴介助の様子・ご利用者の反応

T様は用心深いタイプの方です。

もしもご自分がバランスを崩し、倒れそうになった時にヘルパーがしっかりと受け止めてくれるかどうかを何度も確認されていました。

実際は、要所要所にご自分でつかまって移動や立ち上がりなどされていたので、一度もそういうことはありませんでした。

訪問ヘルパーは、ご本人が洗えない所だけお手伝いすることになっています。

それは、『残存機能の保持』と、なにより『自立支援』のためです。

ご利用者が『ヘルパーに全部おまかせ』にならないように、『自立支援』を促すため、どこからお体を洗うか、など声をかけながらすすめていきます。

特に拒否もなく、よく協力してくださいました。

入浴されると、ご自分で洗えるところはしっかりとなさっておられました。

頭を洗う時は、使える右手で頑張っておられました。

ただ、その際、バスチェアーをつかむことができず、お体のバランスを崩す危険があるので、無理のない範囲で行っていただきました。

頭や背中、足などご自分で難しいところはヘルパーが洗いました。

陰部はご自分で洗っていただきましたが、お尻は無理なので、立ち上がっていただきヘルパーがお手伝いしました。

入浴前の準備の時に、浴槽内に踏み台を沈めておきます。湯船に入る際には、手すりにつかまり踏み台に足を乗せゆっくりと入ります。

ヘルパーはしっかりとお体を支えます。

沈めてある踏み台に座ってお湯に浸かるので、どうしても腰湯になります。

肩が冷えないように(特に冬場など)お湯をかけて差し上げます。

話し好きの方なので、なさってこられたお仕事のこと、おいしかった食べ物のこと、趣味のこと、愚痴などなど、色々聞かせてくださいました。

お体に負担にならないように、お湯に入る時間は数分以内にとどめます。

入浴後はお疲れになっておられます。

浴室から出て、脱衣所の椅子(パイプ椅子)に座る時や、着衣の時にバランスを崩し、椅子から落ちたりしないようにそばに付いて細心の注意を払います。

もしも脱衣所にスペースがあるなら、ひじ掛け付きのしっかりした椅子をご用意いただけると良いと思います。

特にリハビリパンツをはく時は、足を持ち上げるので、お体を支えるようにしてサポートしました。

④入浴介助へのご家族の反応

奥様は大変キレイ好きで、ニオイに敏感な方です。

入浴は週に2回なので、T様のお体が匂ってくるのがお辛そうでした。

イライラしている時にはどうしても黙っていられず、T様に対してニオイのことを言ってしまうこともあります。

時にはご夫婦で言い合いになることもあり、僕がその場にいてもお構いなしでした。(辛)

普段、奥様はヘルパーを歓迎してくださり、その点はこちらとしても助かりました。

お風呂のお湯入れや温度の調節などしてくださることもありました。

もちろん、奥様が不在になる時もあります。その場合は、お湯入れはヘルパーが行います。

⑤入浴介助を提供するうえで難しいと感じた点

・訪問してからのキャンセルの申し出

様々な事情によりヘルパーの訪問がキャンセルになることがあります。

その際は、前日までにご連絡をいただくことになっています。(訪問介護事業所と交わした契約書に『キャンセル料』について詳しく書かれています)

そうすれば、キャンセル料金も発生しません。

T様は、ヘルパーが訪問してから「今日は体が重いから入りたくない」とおっしゃることがありました。

お体の調子は、おっしゃる通りお辛いことと思います。

その場合は、「では、今日は清拭にしましょう」とお声がけするのですが、T様は一度言い出されるとこちらの提案を受け入れません。

無駄なキャンセル料金が発生するだけになってしまいます。

高齢者の入浴は体力をかなり消耗します。

どうしても難しい場合は、足湯を実施したり、お体全体を清拭に変更するなど柔軟に対応することができます。

お体の清潔を保つのは大事なことですし、ヘルパーがお体の状態を見て、変化に気付くこともあります。(痣がある、いつもより動きがお悪いなど)

さらに、入浴はお体を動かす良い機会ともなります。

なので、ヘルパー訪問の機会をうまく利用していただけたら良いなと思います。

・ヘルパーへの依存度が高くなる傾向がある

その日のご気分にもよりますが、ヘルパーと打ち解けてくると、面倒くさいことはやってもらった方が楽なので、「今日は体が重いから頼むよ」と言われ、いつもならご自分で洗っているところも『全部おまかせ』になってしまうことがありました。

そうした状態が続くと残存機能を保持するのが困難になってくるので、励ましつつ、なるべくご自分でできるところは洗うように声掛けしていました。

T様は現役時代、人に指示することはあっても、人からあれこれ言われるお立場ではなかったので、うまく対応しないと意固地になってしまわれることがあり、その対応が難しかったです。

・夫婦喧嘩の勢いで追い返される

訪問すると、すでに喧嘩されているこことがありました。

T様はすっかりお怒りになっておられ、その勢いで「風呂になんか二度と入らない、お前も帰ってくれ、二度と来なくていいから」と追い返されることがありました。

1週間後に、再び連絡があり、訪問再開になりましたが・・・・

その時の体調や気分の変化によって振り回されてしまうことがあり、対応が難しかったです。

⑥まとめ

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退院が決まっても、ご自宅の環境が整っていなければ、帰宅後の生活に支障が出てしまうかもしれません。

介護認定を受けておられなければ、準備が進みませんので、入院後なるべく早く認定調査を受けるようにしていただきたいと思います。

市役所や、地域包括支援センターに連絡すれば、進め方など親切に教えてくださいます。

ケアマネージャーさんも早めに決め、(情報は地域包括支援センターから得られます)住環境や必要な介護用品などを整備するようにしましょう。

もしもリハビリを受けておられれば、リハビリの先生にいろいろとアドバイスを求めることができます。

うちの義父もそうでしたが、退院後、リハビリのために介護老人保健施設(老健)に入所していた際、リハビリの先生自ら自宅に来てくださり、帰宅後の生活のためにアドバイスしてくださいました。

ご本人のお体の具合が、思ったように快方に向かわなかったり、ハプニングなどがあったりすると、ご家族の心身にストレスが溜まってしまいます。

レスパイトケア(ご家族が休息を取れるようにデイサービスやショートステイなどを利用すること)を活用して、日頃介護に取り組まれるご家族がお休みになれる日も作っていただきたいと思います。

⑦在宅介護の限界が近づく前に

状況によっては、施設への入所も考えなければならないかもしれません。

在宅介護は心身ともに力を使います。

限界が来るまで頑張る介護者の方がいらっしゃいます。

本当に頭が下がります。

しかし、限界が来てから施設を探すのは困難です。

なぜなら、入所先を探すのも労力が必要だからです。

もちろん、ケアマネージャーさんに相談し、探していただくことができます。

ただ、ケアマネージャーさんも忙しいので、幾つもの施設を空き情報と共に探していただくのは難しいです。

(ちなみに、我が家の義父の場合、ケアマネージャーさんが「ここしかないです」と、ある施設への入所をゴリ押ししてこられました!)

なので、ご自分でも探してみることができます。

大切なご家族の入所されるところです。

しっかりと選び納得して入所していただきたいと思います。

そのためにはどうしてもいくつかの施設の候補が必要です。

インターネットなどで探すことになると思いますが、希望の地域、費用、施設の環境、職員さんの様子(これ大事です!)、施設内の雰囲気などまで調べるのはなかなかハードルが高いです。

何か所もの施設の『生』の情報を部外者が得るのは困難です。

しかし、そうした情報を得る方法があります!

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首都圏でお探しなら、大きな力になってくれます。

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特に知りたいのは、『詳しい内部情報』です。

ご家族が毎日の生活を送られるところです。

「ケアマネージャーさんがせっかく探してくれたんだから」

「自分でせっかく時間かけて探したんだから」

といったことで妥協せず、最大限情報を得て、納得して決めたいと思います。

そのための実際的な提案をしてくれます。

もしも、首都圏以外の地域でお探しの方は、かいごDB(介護DB) がおすすめです!



あらゆる種類の施設を様々な地域から選ぶことができます。

情報を得るだけでなく、是非一度見学に行ってみましょう。

ご自分の肌で、どんな施設なのかを感じていただきたいと思います。

ちなみに、僕も義父の入居する施設をケアマネージャーさんに探していただきました。

わりと近所で見つかったのは良かったのですが、看護師長の方が威圧的な方でした。

こちらのお願いなどには耳を傾けてくれず、ご自分の考えを押し付けてこられました。

先に見学し、いろいろな方のお話を聞くなどしていれば、あとで後悔しなくて済んだのに、との苦い経験があります。

可能なら、いろいろな施設を見比べてみていただきたいと思います。

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是非ご活用いただき、効率よく、納得して入居先を決めていただきたいと思います。

最後までお読みくださりありがとうございました。

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