生活援助のためヘルパー訪問。調理に奮闘する男一人

ご訪問頂きありがとうございます。

介護福祉士のサード・ラプソディです。@third_rhapsody

『生活援助』は高齢者の生活を支える大事な訪問です。

生活援助の中には様々なサービスが含まれますが、この記事では『調理』を取り上げたいと思います。

正直に申し上げます。

僕は『調理』が苦手です。

苦手を克服すべく自宅で練習したり、先輩たちに随行し、見学や実地訓練に取り組むなどしてスキルアップに努めてまいりました。

その甲斐あってか、1時間の訪問で、おかず3~4品作れるようになりました。

それはさておき、この記事では、ヘルパーが行う生活援助の中の『調理』に焦点を合わせながら僕の体験をご紹介したいと思います。

「これからヘルパーさんに親の調理をお願いしたい」

とお考えの皆様に、ヘルパー訪問の流れや雰囲気が伝わればいいな、と思っています。

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生活援助の調理とは?

『生活援助』は、ヘルパーが高齢者の生活を支えるための大事なサービスです。

その中の一つに『調理』があります。
(今回の訪問例は『要介護2』の方なので、『要介護認定』の方向けの記事となります)

ヘルパーは、独居生活を送る高齢者や、日中独居になられる高齢者のところに派遣されることが多いです。

ご本人は食事の用意ができなかったり、近くにご家族がおられなかったりする場合に、ヘルパーが訪問して料理します。

とても便利なサービスです。

訪問する時間は、基本的にはご利用者の予定に合わせます。

しかし、ヘルパーの確保の都合で、申し訳ないのですが、ヘルパーに合わせていただくこともあります。

ヘルパー訪問の流れは以下のようになります。

1 訪問し、体調の確認を行う
      ⇩
2 冷蔵庫を開けさせていただき、ご一緒に食材を確認する
      ⇩
3 ご一緒にメニュー決める
      ⇩
4 野菜をカットしていただいたり、味見をしていただくなどして『一緒に』調理を行なう
      ⇩
5 可能ならご一緒に後片付けをする

ご本人の介護認定が『要介護1~5』であれば、ヘルパーを利用できる1回の訪問時間も、必要に合わせることができます。

例えば、ご利用者が買い物に行くことができない場合は、ヘルパーが『買い物代行』と『調理』をセットで行うこともあります。

その場合は、1時間では足りないので、1時間30分の訪問になることが多いです。

ご利用者の必要に合わせて、ケアマネージャーさんと相談して決めていくことができます。

お料理の好きな女性のご利用者であっても、お体の具合によって、台所に立って調理するのが難しい方もいらっしゃいます。

次にご紹介するのはそのような方です。

生活援助の調理をご希望、80代女性ご利用者の状況

A様の基本情報
・80代女性
・ご主人とアパートの1階で二人暮らし
・要介護2
・週に3回、夕方に『調理』のサービスを受けておられる
・両膝が悪く、台所で立っていられないためにヘルパーを依頼
・ご主人のお世話で夜も寝られず、いつも疲れ切っている
・掃除のため、ご主人の介護保険で、朝、ヘルパーが入っている
・息子様家族が1時間半ほど離れたところにおられ、食材などを買ってきてくれる

ご主人も一緒に住んでいらっしゃるのですが、体調が悪くほとんどの時間ベッドで休んでおられます。

お嫁さんが週に何回か買い物に行ってくださり、冷蔵庫の中はいつもパンパンです。

油揚げ1枚入らなんじゃないか、という程です。

最初の訪問時の様子

road traffic beach sand

A様のところに、サービス提供責任者(女性)と僕の二人で訪問しました。

訪問前に、ご利用者の今の状況やお体の様子、ご家族のことなどいろいろと情報をお聞きします。

A様は膝がかなりお悪く、立っていられないとのことでした。

僕は、調理は少し心配だったので、

「基本的にはご利用者と一緒にお料理するんですよね」と確認しました。

「もちろんそうよ。A様も少しでも動いたりしないと、どんどん悪くなってしまうから。だから、今日は最初の訪問だけど、一緒に調理しますからね」

と言っていたので、安心していました。

ところが、実際に訪問してみるとどうだったでしょうか?

サービス提供責任者は、

「Aさん、すいませんが、契約書を書いていただきたいので、メニューを決めたらお願いしますね」

と伝え、

僕には「調理の準備してね。メニューだけ決めたらあとはお願いしますからね」

と言われました。

『あ、あれっ、なんか・・・大丈夫かなぁ』

僕は、支給されている、あまりにも美し過ぎるピンク色のギンガムチェックのエプロンを身にまといました。

A様とサービス提供責任者と僕の3人で冷蔵庫をのぞき込み、あれがいい、これがいい、と相談し、結局決まったメニューは、

・鶏モモ肉のガーリック焼き
・小松菜のおひたし
・焼き茄子

でした。

『焼く』と『ゆでる』なので、何とかなりそうだとは思いました。

しかも、僕一人ではなく、A様も一緒にやってくれるのです。

ところが・・・・・

サービス提供責任者は、「じゃあお願いね~」との言葉を残し、A様を促してさっさとリビングへ行ってしまったのです。

『あ、あれっ、調理って・・・ご利用者と一緒にやるんじゃ・・・なかったのか・・・な?』

台所に一人たたずむ男のヘルパーさん。

輝くばかりのピンクのエプロンに身を染めた男のヘルパーさん。(ちなみにほほも桜色)

『ご利用者と一緒に調理』と固く信じていたのに、一人で鶏ももをつかんでいる男のヘルパーさん。

結局、茄子が弾ける音に自分の心もシンクロさせつつ、何とか3品作り上げました。

出来上がりをご覧になったA様は、

「ひゃー、今夜はごちそうだわ!」

と喜んでくださったのが救いでした。

後日の訪問では、ご自分でおできになることは取り組んでくださいました。(ホッとひと安心です)

生活援助の『調理』を依頼される際の注意点

独居の親御様のためにヘルパーさんを『調理』で依頼される場合の注意点についていくつかお伝えしたいと思います。

食材の用意について

週に何回ヘルパーに来てもらうか、又は、ご家族がどれくらいの頻度で買い物をしてくださるかにもよりますが、冷蔵庫を一杯にしないで大丈夫です。

それ程多くの食材があっても、お一人暮らしであれば、それ程使うことはできず、結局悪くなってしまいます。

ちなみに、ヘルパーは古いものから順番に調理に使っていきます。

悪くなっている食材は、ご利用者に確認の上処分させていただくこともあります。

野菜関係

玉ねぎやジャガイモなどの常備菜と季節の野菜などがあれば、あとはヘルパーがご本人と相談して調理します。

もしも「うちの母は歯が悪い」とお伝えいただければ、小さく切ったり軟らかく煮たりできますので、サービス提供責任者にお伝えいただければと思います。

お肉関係

お肉などがトレーのまま冷凍庫に入っていたりします。

大変お手間をお掛けして申し訳ないのですが、もしできれば1回分くらいに小分けにしてラップで包んで冷凍していただけると大変助かります。

そうすれば、いったん全部を解凍しなくて済むので助かります。

時間の節約になり、他の事に時間を使うことができます。

その他の食材

あとは、ご本人がお好きなものを準備しておいていただければ大丈夫です。

スパゲッティでも、ソーメンでもうどんでも大丈夫です。

もちろん、お米を炊いて差し上げることもできます。

お魚がお好きであれば、ブリや鮭やカレイなど煮るでも焼くでも対応できます。

油や調味料系は、標準で大丈夫です。

基本的にヘルパーは薄い味付けで作ります。

もしも足りなかったら、あとはご自分で調節していただいています。

手間のかかる料理だと対応できない場合もあります。

下ごしらえからのギョーザを作ってくれるよう頼まれたことがありますが、時間内に終わらないので、サービス提供責任者と相談の上お断りさせていただいたことがあります。

調理道具関連

標準的な物がそろっていれば大丈夫です。

『ラップ』が大活躍します。必需品です。

あと、アルミホイルもあると助かります。

ヘルパーさんの違い

ヘルパーさんによっては、1時間の間に6品作る方もいらっしゃいます。

また、僕のように3品~4品の人もいます。

残念ながら、ヘルパーさんの数は不十分なので、ご利用者のご希望に十分応えられない場合もあります。

時には味付けが合わず(一応味見していただいているのですが)ヘルパー交代になることもあります。

反対のケースもあります。

ご利用者から細かいことを指摘されて、「私には対応できない」とヘルパーの方から辞退される場合もあります。

その加減というかバランスは難しいです。

サービス提供責任者に遠慮なく相談していただければと思います。

お互いに「チーム」として協力し合っていければ最高なのですが・・・・・

調理についてのご提案

ご家族が買い物に行っておられる場合のご提案です。

ご利用者が食べたいものや、ヘルパーへのご希望などを記入しておく『連絡ノート』を用意しておかれることをご提案したいと思います。

調理の上で困っていることなども書いておいていただければ、情報交換できます。

ヘルパー側も、足りなくなってきた食材や調味料などを書いておくことができます。

お互いに「チーム」としてサポートしていくことができます。

まとめ

『生活援助』の中の『調理』に焦点を合わせてきました。

特に、独居生活を送っておられる高齢者にとって『温かい手料理』を召し上がっていただけるのはヘルパーにとってもうれしいことです。

100%ご希望通りとは行かないかもしれませんが、人の温もりを感じていただきながら食生活を送っていただけると思います。

支えるご家族の負担は確かに大きいと思います。

上手にヘルパーのサービスを利用しながらバランスをとって、ご利用者もご家族も過ごしていただけることを願っています。

最後までお読みくださりありがとうございました。

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