独居高齢者のヘルパー活用実例紹介。要支援認定(買い物代行・掃除)

生活援助例

介護福祉士のサード・ラプソディです。

独居生活を送られる親御さんのために、訪問ヘルパーの依頼を検討されるかもしれません。

ヘルパーのサポートによって、身体面、生活面のかなりの部分のウィークポイントをカバーすることができます。

でも、そもそも『訪問介護』というサービスや『ヘルパー』さんのことなど何もわからないかもしれません。

今回の記事では、『要支援』の認定を受けておられる方の実例を通して、ヘルパーの訪問によってどんなことが助かるのか、ご利用者はどのような反応を示しておられるのか、という点についてご紹介したいと思います。

この記事は約3分で読むことができます。

今後ヘルパーさんを頼むことを検討しておられる方に、ご参考にしていただければ幸いです。

この記事でわかること
・独居生活を送るご利用者の状況・状態
・独居ご本人への実際のサービス内容
・サービス提供の際のご本人の様子
・独居生活の難しい点

ちなみに、『介護認定』を受ける方法や『要介護』と『要支援』の違い、利用料金の目安などについてご紹介している記事は以下にありますので、合わせてご覧いただければと思います。

『要支援』認定を受けられると、なるべく今の状態をキープし、重症化しないように『予防』に焦点を当てたサービスの提供となります。

では、順番に見ていきましょう!

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① 独居生活を送るご利用者の状況・状態

T様は80代の女性です。『要支援2』の認定を受けておられます。

シングルマザーとして一人息子さんを育て上げられました。

ずっと二人で暮らしておられました。

ところが、その息子さんは約3年前に畑仕事中に倒れられ、急死してしまわれました。

頼りにしていた息子さんを失い、しばらくは何も手に付かない状態だったのですが、それでも毎日の生活を送らなければなりません。

それまでは、買い物や室内の掃除などは息子さんが率先して行なっておられました。

これからはすべてご自分で行わなければなりません。

しかし、買い物に行くにしても、近くにスーパーマーケットなどはありません。

そして、アパートの3階に住んでおられます。

足を悪くしておられるので、一人で出かけて買い物に行くのは困難です。荷物を持ちながら3階まで階段を上がるのは非常に危険です。

掃除もご自分でなさるのですが、お体の調子が悪い時もあります。

T様は市役所に相談され、地域包括支援センターを通して認定調査を受けられました。

そして、『要支援2』の認定を受けられました。

地域包括支援センターの職員の方が担当のケアマネージャーになってくれます。(ちなみに『要介護』認定を受けると、自分でケアマネージャーさんを探さなければなりません。ここは大きな違いの一つです)

『要支援認定』を受けると、市区町村が行っている『総合事業』の『介護予防・生活支援サービス』と呼ばれるものを利用することができます。

その中の一つに『訪問介護(訪問ヘルパー)』があります。

② 独居ご本人への実際のサービス内容

T様はご自分で行うのが難しい『買い物代行』と『掃除』のサポートを受けることになりました。

担当ケアマネージャーさんはT様のニーズをよくくみ取り、プランを立ててくださいました。

その結果、毎週火曜日は『買い物代行』を、金曜日は『掃除』を行うことになりました。

どちらも1時間、ヘルパーさんが訪問してくれます。

③ サービス提供の際のご本人の様子

『要支援』は予防に焦点を当てていると述べました。

基本的には、プランに従ってご一緒にいろいろ行っていきます。

③-1『買い物代行』サービス

『買い物代行』は、ご利用者から必要な品物の内容をお聞きし、ヘルパーさんが代わりに買いに行きます。

ちなみに、ヘルパーさんに買い物代を頼む場合に参考になる記事がありますので、合わせてご覧ください。

僕が活動している地域は広いので、車で買い物に行きます。

しかし、ご利用者をお乗せして一緒に行くことはできません。

訪問介護事業所は『タクシー会社』のように、ご利用者をお乗せすることができないことになっています。(特にお乗せする料金をいただくわけではないのですが、訪問介護の仕事の枠内にそうしたサービスがないのです)

では、ご利用者にどのようにかかわっていただくかというと、メモなどに買い物する品物を書いていただきます。

T様はいつもこんなふうに書いておいてくださいます。

油揚げ(5枚入り) 2袋
調整豆乳(大きいパック) 1本
牛乳 1リットル 2本
食パン(6枚切り) 1つ
大根(上半分)1つ
なす1袋
バナナ 5本ぐらい
かんたん酢 1本

お気に入りの商品がある場合は、その商品名も書いておいてくださいます。

その方が、ヘルパーさんもお店へ行ってから迷わずに済みます。

T様は非常につつましい生活をしておられるので、なるべく安い品物を希望されます。その点も考えて買い物します。

ほしい商品が品切れになっていることもあります。

その場合はどうするか、別の品物を買うか、それとも買わないのかもあらかじめ打ち合わせておきます。

T様の場合は、必ず在庫があるようにしておられるので、すぐに困ることはなく「次回でいいよ」と言ってくださいます。

このメモと、お金を預かり近所のスーパーなどで買ってきます。

帰宅後、ご一緒に品物とお釣りの確認をします。

冷蔵庫にご一緒に収納したりもします。

③-2『掃除』のサービス

T様は毎朝、掃除しておられます。

ヘルパーさんが訪問する日も、ご自分にできることはなさっておられます。

お手洗い掃除からはじまり、部屋全体の掃除機掛け、雑巾がけ、各所の拭き掃除を行います。

体調が悪かったり、足の運びが悪い日もあり、休み休みなさっておられるので時間がかかります。

ヘルパーさんが来ると、一緒に行い、手の届かない高いところなどはヘルパーさんにやってもらいます。

時間が余った時には、その他の事を行います。

段ボールをひもでしばったり、物の移動などを行います。

ヘルパーさんまかせにはせず、必ずご一緒に行います。

T様は『介護保険』のことや『要支援認定』が『予防』のための取り決めであることをしっかりと理解しておられます。

なので、ヘルパーに丸投げせず、ご自分にできることを進んで行われます。

おうちのこと、掃除のこと、買い物のことなどあれこれ考えるのは「ボケ防止にいい」とおっしゃっておられます。

④ 独居生活の難しい点

・状態の急変に対応すること

T様に親戚はおられますが、何百キロも離れているので、何かあってもすぐに対応できません。

何人かのお友達が近所におられ、電話をくださったり、訪ねてくださったりしています。心強く感じておられます。

週に2回ヘルパーの訪問があり、月に1回はケアマネージャーさんの訪問もあります。

その時々に心配なことなどを相談しておられます。

しかし、急に体調不良になった時が大変だとおっしゃっておられました。

夜中に腹痛があったり、足が思うように動かず、這うようにしてお手洗いへ行かれたりしています。

ご自分で救急車を呼ぶこともありました。

何か難しいことがあっても、身近に頼める人がいないのは難しい点の一つです。

・ゴミ出し

エレベーターのない3階に住んでおられるので、階段を昇り降りしなければなりません。

「ゴミを持って階段を降りるのが怖い」と言っておられました。

通常のごみ袋だけでなく、段ボールなどの紙ゴミ、缶類ビン類など足が動きにくい状態で出さなければなりません。

・糖尿病の食生活

ご自分でよくお料理をなさっておられます。

カロリー計算もしっかりとなさっておられます。

しかし、体調の変化やお気持ちの状態によって崩れてしまうこともあります。

どうしても「管理が難しい」とおっしゃっておられました。

ちなみに、『介護予防』サービスの中には、『介護予防居宅療養管理指導』というサービスがあります。

医療の専門職の方(医師・歯科医師・薬剤師・歯科衛生士など)に訪問してもらい、薬の飲み方や食事のことなど療養上の管理や指導を受けることができます。

『介護予防訪問看護』というサービスもあり、『介護予防』のための療養上のサポートのために看護師さんに来ていただくこともできます。

ケアマネージャーさんや地域包括支援センターに相談すると、詳しく教えてもらえます。

T様は『管理栄養士』の方の訪問を受け、糖尿病食の指導を受けておられました。

・定期的な受診

月に1回病院へ受診に行かれます。

移動手段はタクシーです。(あまり歩けないので仕方がない)

受診と薬の受け取りはセットなのですが、お体の状態が悪い時は受診後に帰宅されることもあります。

そうすると、後日、薬を受け取りに行かなければなりません。

二度手間になってしまうのが大変です。(ちなみに、近くの薬局であれば、ヘルパーが薬の受け取りにいくことができます!助かりますよね)

⑤ まとめ

T様は逆境の中、本当によく頑張って生活されています。

『要支援』認定を受け、ヘルパーさんを頼むことによってご自分にできないところをうまくカバーしておられます。

いろいろなことをご一緒に行っていくので、いい刺激にもなっています。

心身両面で前向きに暮らしておられるので、僕たちヘルパーもうれしいです。

T様は訪問ヘルパーをうまく活用しておられると思います。

介護を必要とされる方の状況はみな異なっていると思います。

ヘルパーさんを「そんなふうに使うことができるんだ」とご参考にしていただければ幸いです。

最後までお読みくださりありがとうございました。

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